教育業界ニュース

デジタル教科書、制度の論点案…デジタル機能は限定的に審査

 文部科学省は2025年6月12日、デジタル教科書について、音声などのデジタル機能を教科書検定の対象とする論点案を示した。内容の効果的な理解に役立つデジタル機能は、検定審査において、教科書本文との関連性など限定的な範囲の確認にとどめる。

教育行政 文部科学省
教科書、検定の範囲、デジタル機能の扱いイメージ
  • 教科書、検定の範囲、デジタル機能の扱いイメージ
  • 今後のデジタル教科書の活用イメージ

 文部科学省は2025年6月12日、デジタル教科書について、音声などのデジタル機能を教科書検定の対象とする論点案を示した。内容の効果的な理解に役立つデジタル機能は、検定審査において、教科書本文との関連性など限定的な範囲の確認にとどめる。

 現行制度では、紙の教科書に使用義務や検定・採択の必要があり、学習者用デジタル教科書は内容が紙の教科書と同一であるため、あらためて検定を経る必要がないとされている。

 6月12日に開かれた中央教育審議会の第9回デジタル教科書推進ワーキンググループは、今後の検討事項のうち、制度面の論点案を公表した。

 論点案では、今後の教科書検定の方向性として、紙かデジタルかの形態を問わず、現行と同様に文字や図画などによる記述内容を審査。本文・図画などの動的表示機能、図形・関数などの操作機能、音声読み上げ、文字の拡大・縮小、書体の変更、色の変更、ルビ表示、ペン・マーカーなどのデジタル機能は整理したうえで、検定審査では本文との関連性など限定的な範囲で一定の確認を行うにとどめてはどうかと提案した。

 教科書のデジタル部分の具体的な検討方法など、検定上の取扱いについては、次期学習指導要領の実施にあわせた教科書の制作に間に合うよう、教科用図書検定調査審議会で専門的な見地から審議が行う必要があるとした。

 なお、教科書の記述として表示されていない独立した内容の動画については、厳密に内容を確認したうえで部分的な修正を行うことが非常に困難であることから、動画自体を教科書として位置付けて検定の対象とするのではなく、教科書の理解を広げたり深めたりする教材と位置付け、教科書との円滑な接続に配慮することが考えられるとしている。

 デジタル教材については、教科書との線引きを外観上も明確にしたうえで、検定や採択時点では教科書と切り離し、教科書との連続性を高めて多様な教材と組みあわせやすくながら、教科書と一体的に使用できるようにすることで児童生徒の学びの充実を図っていくことが期待されるとした。

 近年、紙の教科書で大幅に増加しているQRコード先のデジタルコンテンツの整理もあわせて必要と指摘。QRコードを通じて紙の教科書と一体的に提供され採択の判断の対象となりうるデジタルコンテンツは、あくまで教科書の一部として認められるデジタルコンテンツに限定されるべきとの考えを示した。教科書以外の要因で採択に影響が出ないようにする方策の検討も今後必要としている。

《奥山直美》

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top