2025年1月21日、文部科学省で行われた記者会見において、あべ文部科学大臣はデジタル教科書の選択制導入に関する議論が進行中であることを明らかにした。中央教育審議会のワーキンググループで、デジタル教科書を正式な教科書として認め、紙とデジタルのどちらを使用するかを教育委員会が決定する選択制の導入に向けた論点が示される予定であるという。
デジタル教科書の導入は、児童生徒の学びの充実を目的としている。中央教育審議会のデジタル教科書推進ワーキンググループでは、さまざまな観点から検討が進められている。紙の教科書は記憶の定着に優れているとする研究がある一方で、デジタル教科書も同等の効果があるとする研究も存在する。デジタル教科書の利点としては、多様な機能を活用し、各自のペースで学習を進めたり、考えを共有したりすることができる点があげられる。全国一律ではなく、希望する自治体がデジタル教科書を選択できるようにすべきという意見も多く出されている。
また、国立大学の授業料に関する議論も進行している。毎日新聞が実施した調査によれば、国立大学の約3割が授業料の標準額を見直すべきと回答しており、運営交付金の増額を求める大学も多いという。あべ大臣は、国立大学の授業料については各法人が個別に設定する仕組みであり、適切に判断されるべきと述べた。2025年度の予算案では、運営費交付金として1兆784億円が計上されており、設備更新のための補正予算も昨年度の約1.5倍となる180億円が確保されている。
さらに、IPS細胞を用いた治験が順天堂大学で開始されたことが発表された。治療が困難な子宮頸がんの患者に対して、IPS細胞を使った免疫細胞を投与する医師主導の治験が行われる。文部科学省は、IPS細胞を含む再生医療研究を継続的に支援しており、今回の治験も2018年から2020年まで支援してきた。2023年度からは再生細胞医療遺伝子治療実現加速化プログラムを実施し、有望なシーズの研究開発を基礎段階から支援している。
このように、文部科学省はデジタル教科書の導入、国立大学の授業料見直し、再生医療研究の推進など、さまざまな教育・研究分野での取組みを進めている。これらの施策がどのように展開されるか、今後の動向が注目される。
