文部科学省の松本洋平大臣は2026年6月12日の記者会見で、「学校教育法等の一部を改正する法律」の成立について言及した。改正法は6月10日の参議院本会議で可決・成立したもので、デジタル教科書を正式な教科書として位置付けることなどが盛り込まれている。松本大臣は、制度改正の目的はデジタル化そのものではなく、教科書の内容を子供たちにとって「よりわかりやすく、学びやすくすること」にあると説明した。
今回の改正により、教科書は紙のみ、紙とデジタルを組み合わせたハイブリッド型、デジタルのみの完全デジタル型の3形態が可能となる。松本大臣は、これまで紙だけで認められてきた教科書にデジタルを取り入れた新たな形態を認めることで、学習内容の理解を深めることを目指すと述べた。今後は、デジタルな形態を含む新たな教科書の発行や採択、使用が円滑に行われるよう、大臣指針や検定基準の策定を進める方針を示した。
記者からは、デジタル教科書の導入に伴う思考力や集中力の低下、視力への影響、ネット依存などを懸念する声や、紙とデジタルの最適な組み合わせに関する議論が不十分との指摘について質問があった。これに対し松本大臣は、紙媒体とデジタル媒体の学習効果を比較した研究では、年齢やデジタル機器への慣れなどの条件によって結果が異なり、一概に優劣を論じることは難しいとの認識を示した。
また、今後策定する大臣指針には、学習活動の中で書く活動の機会を確保する重要性や、医学的知見を踏まえた健康面での留意事項を盛り込む考えを明らかにした。あわせて、情報モラル教育の充実にも取り組む方針を示している。さらに、法改正を受けて設置する有識者会議では、学年や教科ごとに紙とデジタルそれぞれの活用が期待される学習場面について検討を進めるとしている。
松本大臣は、「子供たちの教育の質が高まったと実感してもらえるよう検討を進めたい」と述べ、紙とデジタル双方の特性を生かした教科書制度の構築に取り組む考えを示した。
このほか会見では、高等専門学校(高専)の機能強化についても言及した。松本大臣は、産業界からの期待が高まる中、高専の量的拡大や教育の質向上、高専本科卒業生への学位授与といった国際通用性の確保に向けた政策パッケージの検討を開始すると説明。今月中に有識者会議を設置し、年内を目途に取りまとめを行う考えを示した。







