松本洋平文部科学大臣は2026年7月28日の記者会見で、日本経済団体連合会(経団連)および日本商工会議所(日商)を訪問し、奨学金の返還を企業が肩代わりする「奨学金代理返還制度」の普及拡大に向けた働きかけをしたと説明した。あわせて、企業における運動・スポーツ実施の促進についても意見交換したという。
松本大臣は、7月21日に経団連の筒井義信会長、24日に日商の小林健会頭と面会した。奨学金の返還を支援する「奨学金代理返還制度」は、日本学生支援機構の奨学金を借りていた社員に対し、企業が返還額の一部または全額を同機構へ直接送金する制度。返還支援を受ける社員だけでなく、企業にとっても返還支援に充てる経費を損金算入できるなどの税制上の優遇措置や、人材定着といったメリットがあると説明した。利用企業数は毎年着実に増加しているとし、文部科学省として奨学金の返還負担のさらなる軽減を図るため、2027年度末までに利用企業数1万社増加を目指す考えを示した。
経団連は会員として1,580社の大企業を、日商は約124万の事業者を有する。松本大臣は両団体に制度の普及を要請し、両団体からは、制度は非常に意義があり、利用企業数のさらなる拡大に向け、制度の周知をはじめ連携しながら取り組みたいとの前向きな回答があったと述べた。また、企業における運動・スポーツ実施についても、従業員の健康増進や生産性向上など企業における取組みの意義・効果と、文部科学省の支援策を説明し、賛同を得たという。
デジタル教科書については、制度改正による教科書のデジタル活用のメリットとして、英語のネイティブ音声や理科の実験動画などを掲載することで、児童生徒にとってよりわかりやすく学びやすい教科書となることをあげた。一方で、国会審議で指摘があった教師の指導力向上や健康への影響などを課題と認識しており、今後の実証研究などを通じて対応に取り組むとした。
すべてがデジタルの教科書の扱いについては、秋ごろまでに策定予定の大臣指針で示す考え。中央教育審議会や有識者会議で、小学校低学年や中学年では慎重に考えるべきとの意見が多く出されたこと、現行の教科書代替のデジタル教科書を大規模に提供してきたのは小学校5年生以上であることを踏まえ、小学校4年生以下で認めることは適当ではないとの考えを示したと説明した。松本大臣は、紙とデジタルにはそれぞれ良さがあるとし、デジタルによって新たな学びが開かれている現場も見たと述べたうえで、読み書きや紙に物を書くことなど、教育の大切なものをより意識的に学校教育の中で教えていくことも課題だとした。
このほか会見では、「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産登録について、文化遺産の保護継承の促進や国内外での認知向上、地域活性化につながるとの認識を示した。科研費の基盤研究については、科学技術・学術審議会での議論も踏まえ、第7期科学技術・イノベーション基本計画などに基づき、科研費を大幅に拡充することなどにより、多様な学術研究を支援していく考えを述べた。







