新型コロナウイルス感染症をきっかけに、全国に急速に広がった遠隔授業。現在では、学校教育の可能性を広げる重要な手段のひとつとして定着しつつある。遠隔授業を支えるさまざまなツールやソリューションがある中、簡単な操作で対面しているような映像と音声の高品質な遠隔授業を可能にするのが、北欧ノルウェー発のビデオ会議デバイスブランド「Neat」のサービスだ。
Neatは2019年の設立以来、55か国の13,000以上の企業に採用され、現在では教育現場での活用も進んでいる。教育現場では、どのような効果が生まれているのだろうか。Neatを導入し遠隔授業を先進的に運用している自治体や学校の事例を紹介する。
Neatとは? 遠隔授業を支える独自の先端テクノロジー
Neatは、高画質・高音質・簡単操作にこだわったビデオ会議デバイス。シンプルでスタイリッシュながら、対面と変わらない遠隔授業が実現できる。
最大の特徴は圧倒的な“簡単さ”。シンプルな操作で、マニュアルや研修なしでもすぐに使い始めることができる。従来の授業と変わらない感覚で遠隔授業を実施でき、教育の現場にスムーズに導入できる点がメリットだ。

Neatの遠隔教育ソリューションは、配信する側と受講する側がまるで同じ空間にいるかのように感じられる点が大きな魅力のひとつ。Neatを導入している「茨城県鹿島高等学校」「大分県教育庁」「愛媛県宇和島市」の3つの事例から、教育現場の課題解決にNeatがどのような役割を果たしているのかを紹介する。
DXハイスクールの遠隔授業環境を強化(茨城県立鹿島高等学校)
茨城県立鹿島高等学校は、2024年度に文部科学省の「DXハイスクール」に採択され、デジタル技術を活用した教育改革に取り組んでいる。

Neat導入の背景と選定理由
同校では、より高度な授業をカリキュラムに組み込むため、茨城大学工学部や筑波大学システム情報系の教授と連携し、最先端の知識や研究動向を学ぶ機会として遠隔授業の活用を推進。実現に向けて複数のビデオ会議システムを比較検討した結果、Neatの導入を決定した。
選定の決め手となったのは、セットアップと操作が簡単で、現場の先生が利用しやすいという点だという。実際に利用した先生からは「パソコンやアプリの立ち上げが不要、シンプルな操作性で授業準備や設定の負担が軽減された」との感想に加え、カメラと音の品質の良さ、特に双方向の発話が重なったときでも途切れない優れた音質を高く評価する声があがっている。また、オールインワンデバイスのため、周辺機器やケーブルが少なく、ケーブルを誤って抜いてしまうようなリスクが低い点も高く評価されている。
Neat導入による教育現場の変化
Neatの導入により、同校はDXハイスクールの目標として掲げる「未来の人材育成に必要な、専門性の高い科目や高度な理数系の授業を柔軟に受講できる授業環境の整備」を実現した。同校の小沼浩幸校長は今回のNeatデバイスの導入について、「遠方の大学・研究機関との連携強化や、茨城県内のDXハイスクール採択校間での遠隔授業の円滑な実施につながると考えています」とコメントしている。
地域の少子化に対応した教育DXの取組み(大分県教育庁)
大分県教育庁は、人口減少による学級数や生徒数減少という問題をDX(遠隔教育)で解決しようとする文部科学省の取組み「COREハイスクール・ネットワーク構想」に参画し、実証実験を進めている。そのひとつとして、人口減少による地域の教育水準の確保という問題に対応するべく、約3年前からNeatを導入している。
Neat導入の背景と選定理由
大分県では、今後15年間で高校進学者数の減少率が現在の12%から32%に急増すると予測されている。これにより懸念されるのが、県内中心部とそれ以外の周辺地域との二極化だ。県内中心部以外の周辺地域では、学校数の減少により同じクラスに多様な学力層の生徒が在籍することになり、学力の高い生徒にとって十分なレベルの授業が提供できなくなるなど、教育サービスの低下が危惧されている。
同県は「どの地域においても生徒の可能性を最大限に伸ばす質の高い教育を提供できる環境整備」を目指し、地域の中に学校を残しながら教育水準を維持していくための手段として遠隔教育の導入を決定。Neatの運用を開始した。
選定に際しもっとも重視したのは、「機器を使う教員がいかに負担なく簡単に使えるか」という点だ。Neatは利用にあたり研修もマニュアルもオペレーション操作も不要。モニターの電源をオンにして、接続先の学校名をタップするという2ステップで遠隔授業が始められ、 授業中も機器をさわらなくて良い。今までの授業と何も変わらないことに、現場の教員は驚いたという。
Neat導入による教育現場の変化
Neatによる遠隔授業の成果のひとつとして、専門高校における進学実績の向上があげられる。農業高校において、普通科高校から数学と英語の授業を遠隔で実施したことで、生徒たちの成績が上がり、結果として国公立大学農学部や有名私立大学への進学を実現した。また、県内で求められている土木系人材の育成のため、学校間連携により専門の高校から他の高校へ測量の授業を配信。教員不足をカバーしつつ、専門性の高い授業を生徒に提供する学校間連携の基盤が整ってきている。

Neatを導入したことで、遠隔教育への認識にも大きな変化がみられた。授業を実施する教員や授業を受ける生徒から「対面授業と何も変わらない」との評価を受け、遠隔教育に対するネガティブな印象が払拭されたことは大きなメリットだ。
大分県教育庁は、今後もNeatのような最新テクノロジーを活用することで、県内中心部以外の地域の学校でも教育水準を担保していきたいとしている。これにより、少子化が進行する中でも、教育の質を維持し、子供たちの夢を諦めさせない、持続可能な地域づくりを実現していく考えだという。
臨場感ある遠隔授業を活用した少子化・不登校対策(愛媛県宇和島市)
愛媛県宇和島市では、少子化による複式学級や不登校といった教育現場の課題解決を目指し、2024年1月から6月にかけて、遠隔授業の充実と推進に向けた実証実験を行った。実証実験では、Zoom RoomsとNeatデバイスを活用し、学びの体験価値を向上させるうえで重要となる、画角(見え方)と集音(聞こえ方)を検証した。
Neat導入の背景と選定理由
宇和島市内の小中学校では、人口減少と少子化の影響により小規模校が増加。複数の学年が同じ教室で学ぶ「複式学級」が設置されているが、意見交換や発表の機会が限られるという課題が生じていた。また、市内の中学校に設置された不登校支援サポートルームでは、教員によるオンラインでの学習支援を行っていたが、「黒板の字が見えない」「声がよく聞こえない」といった不満の声があがっていた。
同市は地域や行政課題の解決やサービス向上のため、Zoomビデオコミュニケーションの運営会社であるZVC JAPANと協定を締結。教育環境の改善を模索する中で、Neatを用いた実証実験が決定した。デバイスの選定にあたり、教員目線の使いやすさと児童生徒同士のコミュニケーションの質の担保を重視。他のデバイスの性能と比較した結果、Neatの採用に至ったという。
実際に活用したところ、Neatデバイスは画質・音声の良さと画角・収音範囲の広さが際立っていた。オートフレーミング機能やシンメトリー機能により先生や児童生徒ひとりひとりの表情がはっきりと確認でき、同時に話しても双方の声を拾うダブルトーク機能で会話が聞き取りやすいというのも大きなメリットだった。
Neat導入による教育現場の変化
実証実験の結果、シンメトリー機能でひとりひとりの顔がはっきりと映るため、相手を認識した意見交換や発表ができ、対面に近い環境での授業が実現した。ストレスのない意見交換や発表の機会を設けることで、学習の質向上にも効果がみられた。

一方、校内サポートルームを利用する生徒からは「画質や音質がよく、ストレスを感じなくなった」との声が寄せられ、学習への集中力や学習の定着が実感できたという。中には、集中して学べるオンライン授業の環境が整ったことで不登校から高校へ進学できた事例もあり、学習環境の改善が学習意欲や登校意欲の向上を図るきっかけになり得ると感じたという。
宇和島市は、実証実験の結果を踏まえ、将来的には市内の全中学校にNeatデバイスを導入したい考え。Neatデバイスは、児童生徒数の少なさや、通常学級に入れないといったハードルを飛び越え、学びたい子供たちが取り残されることなく学習できるツールとして大きな可能性を秘めている。
セミナーと体験「遠隔授業Days」4/23-25開催
2025年4月23日から25日の3日間にわたり、教育関係者向けの特別イベント「遠隔授業Days」が、有明セントラルタワー&カンファレンスにて開催される。多くの学校が直面するであろうこれらの課題に対応するソリューションのひとつとして、Neatのデバイスを体験できる。
イベントでは、遠隔授業に先進的に取り組む自治体や学校の担当者を招いたセミナーや意見交換会を実施。Neatを活用して少子化やDXに関する課題を解決した事例や、遠隔授業を成功させた具体的なノウハウを紹介する。予定しているセミナーは下記のとおり。
・大分県教育庁(少子化)
・北海道高等学校遠隔授業センター(少子化)
・茨城県IT未来校(DXハイスクール)
・富山県荒井学園(DXハイスクール)
・愛媛県宇和島市(不登校)
・災害など非常時における生徒の学びの守り など
セミナーは、ランチ懇談会・コーヒー懇談会として実施。登壇者や専門家とともにリラックスした雰囲気の中での学びと情報交換の機会を提供する。さらに、遠隔授業の実体験や製品の展示、デモなどに自由に参加できるオープンセッションの時間も設け、個別の相談なども受け付ける。リアル会場のほかオンラインでも参加可能。参加費無料、事前登録制で、リアル会場の各懇談会のみ定員20人。
当日は、参加者の希望に応じてNeatデバイスの無償貸出しについても相談を受け付ける。地域による教育格差や教員不足といった課題解消や、児童生徒の多様な学びの創出に貢献できる新たな遠隔授業を実際に体感し、今後の検討の参考にしてみてはいかがだろうか。
「遠隔授業Days」参加申込Neat「遠隔授業Days」
日時:2025年4月23日(水)~25日(金)9:00~17:00 ※25日のみ16:00終了
会場:有明セントラルタワー&カンファレンス(東京都江東区有明3–7-18 有明セントラルタワー3F Room6)
形式:会場またはオンライン参加
対象:教育関係者
定員:リアル会場の各懇談会のみ先着20人
参加費:無料
申込方法:イベント申込フォームより事前に申し込む
プログラム(各日共通):
9:30~12:00 遠隔授業体験デモ&相談会
入退場自由、遠隔授業の事例などについての相談や展示やデモを行う。
12:00~14:00 遠隔授業特別講演
・4月23日(水)大分県教育庁(調整中)
・4月24日(木)IT未来高校・荒井学園
・4月25日(金)北海道高等学校遠隔授業センター・宇和島市教育委員会
特別講演後は名刺交換など、歓談の時間を設けている。
14:00~15:00 コーヒーセッション(Neatの遠隔授業ソリューションご紹介)
午後のリラックスタイムにコーヒーやお菓子を楽しみながら、Neatの遠隔授業ソリューションを紹介する。
15:00~16:30 遠隔授業体験デモ&相談会 ※3日目は16:00まで
入退場自由、遠隔授業の事例などについての相談や展示やデモを行う。
※特別講演の前後(開場時間は午前9時~午後5時)は入退場自由となっており、遠隔授業の事例などについての相談や展示・デモを行う。
※コーヒーなど随時提供。
※3日目は16:00まで。
※プログラムは随時更新される。
Neatの革新的なテクノロジーを活用した教育現場での事例を通して、Neatデバイスによる遠隔授業がもたらす効果には、これからの日本の教育を支える大きな可能性が感じられる。オンライン教育の幅が広がり、多様な社会課題に対応しながら場所を問わずに質の高い学びを提供できる未来に期待したい。