学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第246回のテーマは「教材や指導方法が時代遅れで、現代の教育ニーズに合っていない」。
学校は社会から距離がある
「学校の先生は非常識だ」
こういったことが言われることがあります。すべてが当てはまっているとは思いませんが、学校現場には社会の常識をあまり知らないと思われる人がいることも事実でしょう。学校は社会から距離があるように私は感じています。特に「小学校」がそういったことが多いように感じます。
私は公立の小学校(2つの県)で約20年働いた後に大学へ移りました。今の職に移ってから、外部との関わりがとても増えました。逆に言うと、小学校の教員のころは、外部と関わることは少なく、学校の内部だけで完結していたことが多かったということになります。社会では、特に会社においては利益追求のために、新しい技術や考え方をどんどん取り入れていきます。新しく開発されたものを適切に取り入れていかないと、競争に敗れてしまうからです。そういったこともあり、日々の小さな変化から大革新のような大きな変化まで、変化を続けながら、組織が存続していっています。
学校は現状維持になりやすい
その点、学校(特に公立学校)は、つぶれないということもあり、新しい変化を取り入れず、現状維持となりやすい傾向にあります。GIGA端末のような非常に有用な道具を学校に取り入れても、十分に活用しきれていない場合があります。GIGA端末が学びに活用されていれば良いのですが、状況によっては「遊び道具」となってしまっている場合もあります。ゲームをしたり、不適切な動画などを視聴したりしてしまうことなどです。GIGA端末という有用な道具が、明らかにマイナスに働いてしまうこともあります。
GIGA端末をどのように活用していくのかということはさまざまな実践や研究が行われています。そういったことを教師が知ることで、子供の学びの質が高くなる可能性が高まります。本来は「教える人は学ぶ人」であることが必要なのだと思います。良質なアウトプット(教える)のためには良質なインプット(学び)が必要です。残念ながら、現在の教員の置かれた環境は、忙しさなどから十分に学ぶことができていないように思います。授業準備なども含め、教師の学びが十分でないことで、授業の質などに影響が出て、結果として、子供の学びの質が下がってしまうという悪循環に陥っています。
そういった状況に対しては、さまざまな部分を改善していくと良いと思います。学校内で対応できることがたくさんあります。学校での取組みは「校長裁量」「学校裁量」で決められる部分がたくさんあります。近隣の学校などを見て、足並みを揃えることも大事ですが、目の前の子供を見て、より良い学びのために変えていくと良いと思います。現在、改訂に向けて取り組まれている学習指導要領についての話し合いでは、学校裁量により決められるものが増える方向で話し合いがされています。発表によると「調整授業時数制度」などにより、学校独自の教育課程の作成がしやすくなります。今後さらにそういった流れとなっていくことが考えられます。それぞれの学校が目の前にいる子供に合った教育課程を作っていくようになることを望みます。
本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。
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