保育現場では、子供たちの安全管理や保育記録、保護者への情報提供など、日々多くの業務が行われている。近年、こうした保育士の業務負担を軽減し、保育に集中できる環境を整えるために、ICTの導入が進んでいる。
東京都港区にある「リトルパルズ保育園六本木」は、保育・教育施設向けICTサービス「コドモン」を導入し、その中のAI写真サービス「せんせいフォト」を日常的に活用している。せんせいフォトは、AIの顔認識による自動整理・分類機能を備えており、保育現場での写真業務を効率化している。同園 園長の風間恵美氏、保育士の佐久間佳奈氏、永岡春果氏にせんせいフォトの導入で業務にどのような変化があったのか、今後どのように活用していきたいかなどを聞いた。
「動」と「静」の活動をバランスよく取り入れ、自分の好きを見つけてほしい
--リトルパルズ保育園六本木はどのような保育園ですか。
風間氏:0歳児から5歳児まで、現在42名が在籍しています。最大の特徴は、オリジナル絵本の読み聞かせから、さまざまな遊びへとつなげる「ウィズブック(WithBook)」という活動です。ウィズブックは、子供の発達にあわせ屋外・室内の「動」と「静」の活動をバランスよく取り入れています。たとえば、かけっこや室内での運動やリトミックなどの「動」の時間と、塗り絵や粘土などにじっくり取り組む「静」の時間を組み合わせ、子供たちが自分らしさや“好き”を見つけられるよう工夫しています。
また、英語を母国語とする先生も在籍しており、歌ったり、カードを見せたりして五感を刺激しながら英語に親しむ活動も取り入れています。

日常生活を幅広く撮影、日々のようすを保護者へ配信
--普段の保育の中で、写真をどのように使っていますか。
永岡氏:お誕生日会などの行事だけでなく、外遊びや給食、お昼寝など、日常の姿を幅広く撮影しています。撮ったあとは、せんせいフォトにアップロードして、コドモンで保護者へ配信しています。配信された写真はすべて保護者が購入できるようになっています。
佐久間氏:退園や卒園の記念として、在園中に撮影した写真を使ってアルバムを作っています。お子さまの成長を感じてもらいたいので、写真の選定や装飾などに特に力を入れています。
デジカメによる撮影・データの整理が大きな負担に
--日常のあらゆる場面で写真を撮影しているのですね。AI写真サービスを導入する前は、どのように写真を管理していましたか。
風間氏:以前は、5台のデジカメを使って日々のようすを撮影していました。保育士は撮影した写真をパソコンへ取り込み、その中から写真を選定してコドモンにアップするという作業を行っていました。写真の選定は難しく、最終確認の段階で「画質が悪い」「配信には適さないのではないか」という理由で、担当の保育士に削除して良いかどうかを確認することも多くありました。
佐久間氏:デジカメは、ピントが合わなかったり、手振れが起きたりと、保育中の撮影に難しさを感じる場面もありました。さらに、SDカードによるデータ管理では、写真の見返しや選定作業が手間となり、時間がかかっていました。今思うと、たくさんの時間と労力がかかっていたと思います。
さらに園にはパソコンが1台しかなく、順番待ちになることもよくありました。写真を取り込むために職員室へ行ったけれど、ほかの先生が使っていたので教室に戻り、終わったら声をかけてもらうということも多かったです。大きな行事のあとは、写真の量も増えるので、それを取り込むのにもかなりの時間がかかっていました。また、保育の時間に教室を抜けることは、子供たちの安全面でのリスクもありました。

業務負担の解消だけでなく、写真の質も向上
--「せんせいフォト」を導入した理由を教えてください。
風間氏:「写真に関わる業務の労力や時間の負担を解消したい」と考えたからです。導入時にはコドモンの担当者に来ていただいて、アプリの使い方をレクチャーしてもらいました。きれいな写真を撮るコツなども教えてもらったので、先生方にも使い方と一緒に共有しました。
現在、日常の写真はiPhoneやiPadで撮影しています。デジカメを使っていたときに比べて手軽に撮影できるようになりました。子供たちもスマートフォンで撮影されることに慣れているので、より自然な表情が撮影できるようになったと感じています。
--「せんせいフォト」の導入で、業務はどのように変わりましたか。
永岡氏:iPhoneやiPadで撮影した写真を、そのまま「せんせいフォト」にアップロードできるようになりました。1台で完結するので業務が効率化したのはもちろん、保育室を離れずに作業できるのでとても助かっています。操作もシンプルで、説明を聞けばすぐに使える点も良いところだと思います。
また、iPhoneやiPadでの撮影はデジカメよりも手軽なので、「今の表情が撮りたい」と思ったときに、すぐにカメラを向けられるようになりました。撮った写真を確認することも簡単なので、極端に暗い写真や、ほかの子供が横切ってしまった写真などはすぐに撮り直すこともできるようになりました。

--手軽に撮影できるようになって、写真の枚数は増えたのではないでしょうか。選定の業務はどのように変化しましたか。
永岡氏:自動で選定してくれているので画質などはあまり意識しなくなりましたが、ピックアップされた写真の中から、保育士がプライバシーなどに配慮して共有に適さないと判断した写真を除外しています。撮影品質が悪いものは自動で除外してくれるので、確認するポイントを絞ることができ、楽になったと感じます。
佐久間氏:せんせいフォトでは、ひとりひとりの顔写真を登録し、在籍するクラスを紐づけておくと、AIが顔を認識してクラス別に写真をピックアップしてくれます。アップロードした順に表示されるので、1か月の中でも上旬・中旬・下旬と細かな成長が感じられる写真を選べるようになりました。
顔認識の精度も高く、今年担任している2歳児クラスの子供たちは、0歳のときに登録した顔で認識してくれています。髪をバッサリ切ったり、丸坊主にしたりする子供もいますが、髪型が変わっても正しく認識してくれます。
--先生方の作業が効率的になったことで、園長先生はどのような変化を感じていますか。
風間氏:配信前に園長か主任が最終確認をしています。以前は、先生方がアップロードと選定を終えるのを待たなければいけないことも多かったのですが、それが簡単にできるようになったので、確認時間が早まりました。写真の最終確認を早い時間に終えられるので、精神的にも楽になりました。
また、最終確認の段階で「画質が悪い」などの理由で削除したほう方が良い写真について、担任に確認する頻度も減っていると思います。
AIによる顔認識で業務負担が大幅軽減
--「せんせいフォト」のどのような点が気に入っていますか。
佐久間氏:やはりAIによる顔認識です。精度が高く自動的に分類されるので、クラスや園児ごとの写真選定にかかる手間が大幅に減りました。アルバム作成や保護者への共有も楽になり、子供たちと向き合う時間が増えました。また、園児ごとの写真枚数をカウントしてくれるので、毎日子供たちを撮影する中で、枚数が少ない園児は意識的に撮影するようにしています。
永岡氏:私は撮影・選定が簡単になった点です。保育園の日常の雰囲気を保護者にたくさん伝えたいので、スマートフォンやタブレットで気軽に撮って、すぐに選定・アップロードできるのは助かります。自然と撮影枚数も増えますね。
--「せんせいフォト」を導入して、保護者の反応はいかがですか。
永岡氏:保護者にはAI機能の導入などについて特にお伝えしているわけではありませんが、iPhone・iPadでの撮影で明るさ調整も簡単にできるようになったので、「今日の写真とても良かったです。笑顔がかわいかったです」という声もたくさんいただくようになりました。
子供たちの達成感や喜びを振り返り、自己肯定感の醸成へ
--今後、写真を使ってどんなことをやってみたいですか。
永岡氏:今は保護者への配信やおたよりで写真を利用していますが、子供たちが「今日はこんな遊びをしたんだな」という振返りにも使ってみたいです。たとえば、制作で作ったものを写真で振り返ることで達成感や嬉しさが生まれます。その喜びや楽しさが、子供たちの自己肯定感を育むことにもつながると考えています。
また、手軽に写真が撮れるようになったので、今のこの表情・この瞬間を写真に残して、保護者との会話のきっかけ作りにも活用したいですね。iPhoneだと連写も簡単にできるので、子供たちが遊んでいる躍動感を伝えられます。せんせいフォトを通じて、保護者への情報提供もさらに充実させたいと考えています。
佐久間氏:文章だけではなかなか伝わりにくいことが、写真でははっきりと伝わるので、「この子と仲が良いんだな」「こんな遊びをしていたんだな」というのを確認できて、保護者の安心にもつながっていると思います。卒園アルバムの制作はこれからですが、写真にかかる時間や労力は大幅に削減できると期待しています。削減できた時間で、アルバムの装飾にもっと時間を使いたいと思っています。
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「せんせいフォト」によって写真業務が大幅に効率化され、先生が子供たちと向き合う時間が増えたようすや、充実した情報発信が保護者の安心感につながっていることが感じられる取材だった。今後も保育現場におけるICTの活用が進むことで、さらに子供たちへの質の高い保育が実現することを期待したい。
【協賛企画】アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
保育・教育施設向けICTサービス「CoDMON(コドモン)」は、2015年のリリース以来、アマゾン ウェブ サービス(AWS)上でサービス提供を続けている。2万3000施設以上で利用するまでに成長を遂げた今も、AI写真サービス「せんせいフォト」の提供を開始するなど、進化を続けている。












