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ユニファ、保育AI「すくすくレポート」特許取得…業務負担軽減へ

 ユニファは2025年10月21日、同社が提供するルクミーの保育AIプロダクト「すくすくレポート」が、「保育業務における成長記録簿作成支援システム」として特許を取得したと発表した。

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ルクミーの保育AI「すくすくレポート」
  • ルクミーの保育AI「すくすくレポート」
  • 保育施設における一般的な文章量から算出した概算値(自社調べ)
  • ルクミーの保育AI

 ユニファは2025年10月21日、同社が提供するルクミーの保育AIプロダクト「すくすくレポート」が、「保育業務における成長記録簿作成支援システム」として特許を取得したと発表した。同サービスは、AIが写真やテキストデータを活用して子供の成長レポートを自動作成し、保育者の業務負担軽減や保育の質の向上を支援する。

 保育業界では人手不足が課題となっており、こども家庭庁の2024年11月の発表によると、保育士資格をもちながら社会福祉施設などで働いていない潜在保育士は111万人にのぼるという。保育現場の労働環境改善が重要な課題となる中、毎月や期ごとの成長記録の作成など、膨大な書類業務が保育者の大きな時間的・心理的負担となっていた。また、こども家庭庁は2025年6月に「こども政策DXの推進に向けた取組方針2025」を掲げ、デジタル技術の活用による保育施設の事務負担軽減を推進している。「すくすくレポート」は、こうした背景のもと、保育者が子供の育ちを正確に把握し、質の高い保育の実現をサポートすることなどを目的に開発された。

 今回取得した特許(特許第7761967号)は、「保育業務における成長記録簿作成支援システム」に関する技術。保育者が保育総合ICTサービス「ルクミー」の写真や連絡帳、日誌などに日々記録したデータから、AIが画像認識やテキスト化を通じて必要な情報を自動で整理・収集し、園児またはクラス別の成長レポートを自動生成できる。

 同社は、この技術のおもな活用領域として、次の3点をあげている。(1)書類作成業務の短縮、(2)保育の質の向上に貢献、(3)保護者エンゲージメントの強化

 「すくすくレポート」は、2025年10月に正式提供を開始。同社によると、保育施設では園児1人あたり3か月で約2万字の書類が記録され、その量は短編小説1冊分に相当するという。また、写真記録は同期間で600枚以上となり、畳に並べると4畳分もの量になる。「すくすくレポート」は、これらの膨大な記録から、指定した期間ごとの子供の成長を要約したり、写真の中から印象的な出来事を可視化したりできる。2025年3月10日に先行利用施設の募集を開始し、約5か月で600施設以上の申込みがあった。

 ユニファが提供するルクミーの「保育AI」機能では、このほかにも連絡帳・おたよりなどの文章作成を支援する「たよれるくん」や、保護者に共有される写真に子供たちが偏りなく撮影されているかチェックを支援する「ばらつきチェック」といった機能を提供している。2024年10月からは、こども家庭庁の事業に基づき、岩手県北上市、神奈川県横須賀市、東京都狛江市の保育施設において、生成AI技術を活用した実証実験も開始している。

 保育総合ICT「ルクミー」シリーズは、登降園管理や午睡時の見守り、保育日誌の作成、保護者向け連絡など、保育者の多岐にわたる業務をDXし、業務負荷の大幅な削減を目指すサービス。「保育AI」サービスで、人の温かみをしっかりと体現できる保育を実現し、愛があふれる・こどもにより寄り添う保育をめざす。

《風巻塔子》

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