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デジタル教育コンテンツ市場は632億円…前年度比11.1%増

 2022年度のデジタル教育コンテンツの市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比11.1%増の632億円であることが、矢野経済研究所が2023年7月13日に発表した調査結果から明らかとなった。市場拡大には、経済産業省「EdTech導入補助金」が寄与しているという。

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デジタル教育コンテンツ市場規模推移(矢野経済研究所調べ)
  • デジタル教育コンテンツ市場規模推移(矢野経済研究所調べ)
  • デジタル教育コンテンツ市場に関する調査要綱

 2022年度のデジタル教育コンテンツの市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比11.1%増の632億円であることが、矢野経済研究所が2023年7月13日に発表した調査結果から明らかとなった。市場拡大には、経済産業省「EdTech導入補助金」が寄与しているという。

 デジタル教育コンテンツ市場に関する調査は2023年2月~6月、デジタル教育コンテンツ提供事業者を対象に、矢野経済研究所専門研究員による直接面談(オンライン含む)と文献調査を併用して実施された。市場対象は、教育機関や法人向けの「映像授業」「デジタル教材」「授業・学習支援ツール」の3分野とし、事業者売上高ベースで算出。ただし、サービス提供事業者が自社学習サービスとして個人向けに提供するデジタル教育コンテンツ、Web会議システムを使用したオンライン授業は含めない。

 2022年度のデジタル教育コンテンツ市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比11.1%増の632億円。調査対象3分野のうち、「映像授業」は競合激化によるコンテンツの廉価化や、大学入試に総合型選抜や学校推薦型選抜が台頭し始めたこともあり、一般選抜に対応した学習需要の停滞などを受け前年度割れとなった。

 一方、「デジタル教材」「授業・学習支援ツール」は、経済産業省の「EdTech導入補助金」による導入ハードル低減などが寄与し市場が拡大。ただし、学校ごとで端末の活用状況に対するばらつきが生じていることや、自治体によっては学習用ソフトウェアの導入に関する予算を捻出できずに活用が広がらないといった課題は依然としてみられるという。

 また、2020年前後より学習塾や英会話などで導入が進む「メタバース(仮想空間)」を用いた学習サービスは、2022~2023年にかけて関連サービスのリリースが活発化。

 メタバース空間では、アバターで参加するため不登校の問題を抱える生徒も参加しやすく、対面での質問が苦手な生徒もコミュニケーションがとりやすい。また、海外の世界遺産訪問や、安全面で難しい理科実験にも挑戦できるなど、現実世界では体験できないような学びを体感できるという特長があり、今後も、学習者の需要が増え、関連サービスの増加するとみている。

 ただし、2023年度は「EdTech導入補助金」の付与がなく、予算を捻出できない自治体・学校では学習用ソフトウェアの導入を制限する方向に進み、民間教育では大学入試の変容により一般選抜に対応した学習需要が停滞。コロナ禍を境に活発化したデジタル教材の導入も落ち着いたことから、伸び率は鈍化傾向で推移。これらを理由に2023年度のデジタル教育コンテンツ市場規模は前年度比0.5%増の微増で635億円と予測している。

 出典は、6月23日発刊の書籍「2023 EdTech・デジタル教育コンテンツの動向と将来展望」(A4/184ページ)、価格は16万5,000円(税込)。矢野経済研究所のWebサイトから購入できる。

《川端珠紀》

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