ICT教材eboard内の映像授業において、学習のハードルが下がるよう編集された「やさしい字幕」を提供するNPO法人eboardは2025年8月5日、小学校・中学校課程の映像授業内で「やさしい字幕」がふりがな(ルビ)に対応したことを発表した。映像授業およびふりがな付きの「やさしい字幕」は、アカウントの有無に関わらず、誰でも無償で利用できる。
「やさしい字幕」は、ろう・難聴の子供、日本語の支援が必要な外国につながる子供、発達障害などから学びづらさを抱えた子供をおもな対象として、学習のハードルが下がるよう編集された字幕。「やさしい日本語」の考えをもと、字幕の表示量の調整、言葉や文章構造の簡素化、学年や教科別の表示工夫などの編集を行っている。
「やさしい字幕」は、19の企業・団体からの社員ボランティアを含む1,120名の協力のもと、2020年7月から約1年をかけて制作された。義務教育課程を広く取り扱った映像授業としては、日本で唯一、字幕による学習機会の保障を実現している。この取組みは、SDGsへの貢献が評価され、2021年12月に第5回ジャパンSDGsアワード(主催:SDGs推進本部)にて、SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞を受賞するなど、多くの評価を受けている。
今回、「やさしい字幕」がふりがな(ルビ)表示に対応し、さらに見やすくなった。これまでも、「やさしい字幕」では、該当学年以上で習う漢字にカッコ付きのふりがな(例:種子(しゅし))を提供していた。しかし、ICT教材eboardを利用する子供は、不登校経験や学習障害、日本語支援が必要などの理由から、漢字の学習に遅れが出てしまい、各教科の学習につまずいてしまうケースが少なくない。
こうした背景を受け、字幕のふりがな(ルビ)表示について技術的な対応も進んだことから、eboardは今回、小学校および中学校課程のすべての映像授業において、すべての漢字にふりがな(ルビ)を表示する対応を行った。これにより、より多くの子供たちが学習をスムーズに進められるよう、一層の学びやすさを提供する。
今回のふりがな(ルビ)付きの「やさしい字幕」は、セールスフォース・ジャパン、キンドリルジャパングループ、三井住友トラストグループ、アシュリオンジャパン・ホールディングス、シスコシステムズ、JPモルガン・チェース、伊藤忠商事などの企業の協力を得て作成された。
NPO法人eboardは、「学びをあきらめない社会」をミッションに、インターネットを通じて、経済的理由、不登校、障害などの事情を抱える子供たちの学習機会の保障を目指して活動している。団体が開発・運営するICT教材eboardは、約2,000本の映像授業と約1万問のデジタルドリルで構成され、公立学校・非営利活動、家庭での利用(個人)には無料で提供。全国の公立学校や学習支援団体、フリースクール、地方の公営塾など1万2,000か所以上の教育現場で導入され、毎月20~30万人に利用されている。