学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第121回のテーマは「学校の机が狭い」。
タブレット/PC活用による
問題点
新型コロナウイルスによって学校においてタブレット/PCを積極的に活用する状況となりました。1人1台のGIGA端末(タブレット/PC)があることによって、学校での学びの形が大きく変わってきています。良い面がたくさんあるのですが、タブレット/PCを活用したからこその問題点も出てきています。
タブレット/PCを活用したことの問題点としては、「視力の低下」「SNSでのいじめ」「不適切な使用」等があります。それらは今回のメインテーマではないので触れませんが、それぞれしっかりと考えていく必要のある内容です。そういったものとは少し違ったもので普段の生活の中で実際に子供が困っていることに「机の大きさ」があります。
GIGA端末を置くと机が狭くなる
現在、小学校で使われている机は一般的に「新JIS規格」と呼ばれるもので天板が「650mm×450mm」です。少し古いもの(1999年以前)は「旧JIS規格」のもので「600mm×400mm」となっています。
少し大きい「新JIS規格」のものでも、それらは教室の机の上でタブレット/PCを使うことを想定しているものではありません。教科書、ノート、筆箱等を置いて学習を進めることを想定してのものです。現在の学校では、GIGAスクール構想により、1人1台のGIGA端末も机の上に置いて学習を進めることが多いです。
問題点としては、複数のものを広げにくいということです。教科書とノートを広げながら、PCを使用すると狭く感じます。また、そういったことも関連し、机からタブレット/PCが落ちてしまうこともあり得ることです。机の上からの落下はそれなりの衝撃もあるはずで、状況によっては破損や故障にもつながります。
対策としては、補助具を購入することがもっとも簡単な方法でしょう。補助具は机の使用範囲を少し(5~10cm)広げるものです。これまでの机にネジ等で固定し、装着することで使用できるものです。広がるサイズはそれほど大きい訳では無いのですが、これで使い勝手が格段に向上します。
他の方法としては、机の買い替えや天板の交換等がありますが、どちらにしても費用がかかるという難しさがあります。買い換え等は、1つ2つという個数ではなく、1つの学校でも数百個ということになります。費用が大きくなってしまいます。そういった中、クラウドファンディングを利用して机の買い替え等を進めた自治体(千葉県館山市)もあります。
補助具を購入したり、机を買い替えたりすると机の表面は広くなります。先ほども書いたように使い勝手は良くなるのですが、気をつけなればならないこともあります。それは、教室の中で人が動くスペースが狭くなってしまうということです。特に人数の多いクラスでは、机の数も多くなります。それぞれの机のサイズが大きくなるのは少し(5~10cm)なのですが、全体としては大きなものとなります。そういったことが原因となって怪我等につながらないような配慮も必要でしょう。
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