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【相談対応Q&A】登校時に日傘を使いたい

 学校に寄せられる相談「登校時に日傘を使いたい」について、クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、対応する際のポイントを聞いた。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第241回のテーマは「登校時に日傘を使いたい」。

猛暑で日傘をさす人が増加

 このところの日本の暑さ(熱さ)は異常でしょう。この記事を書いている数日前に群馬県伊勢崎市で41.8度が観測されました。その数日前には、兵庫県丹波市で41.2度が観測されました。それまでは、埼玉県熊谷市と静岡県浜松市で観測された41.1度が日本での最高気温でした。伊勢崎市で41.8度が観測された日には、群馬県だけでなく、栃木県、埼玉県、東京都でも40度を上回る気温を観測しています。

 こういった状況になってきたこともあり、街中では日傘をさす人が増えてきています。以前は女性はさすことがあっても、男性がさすことはあまり見られなかったです。ただ、この数年の異常な気温上昇で、男女問わず日傘をさす人が増えています。日傘以外にも暑さ対策グッズがいくつも販売されています。

積極的に日傘を使用してほしい

 そういった状況において、学校の登下校での日傘の使用の可否が話題になっています。私は積極的に使っていくべきだと考えています。私は大学に移るまで、埼玉県熊谷市に住み、隣の深谷市の小学校に勤めていました。先ほども書いたように熊谷市は長く最高気温を維持していた町です。学校があった深谷市は気象庁のアメダスがないため、正式な観測記録は公表されませんが、近隣の自治体はどこも熊谷と同じような暑さでした。

 私が小学校に勤めていたのは、9年前までなのですが、そのころから日傘の使用は認めていたと記憶しています。色々と調べてみると、日傘の使用に積極的でない自治体や学校もあるようです。日傘の使用に消極的な理由は「日傘で手がふさがってしまい危険だから」というものがありました。学校のチグハグさがよく現れている事例だと感じます。きっと教職員の中に日傘を使わせたくないと思う人がおり、後付けで理由を考えたという感じでしょうか。「両手がふさがる」という理由であれば、雨の日に傘をさすことや週末に両手にいっぱいの荷物を持って帰ることはどうなるのかなどの話になってきます。

 都心の学校を除けば、日本中の学校に勤める多くの教職員は車で通勤をしています。学校自体が地域で散らばって存在しています。日々の仕事が忙しいこともあり、朝早くに出勤し、夜遅くに帰ることが多いです。もちろん、車にはエアコンがあります。日中に営業職のように取引先を回るような仕事も少ないです。多くの教職員は日傘の必要性が高い生活はしていないでしょう。そういったこともあり「日傘はダメ」などの少しズレた意見を言う教員が出てきてしまうのでしょう。

 現在の天気の状況を考えると、積極的に日傘の使用を促していく方が良いのではと思います。もちろん、帽子をかぶる、首に冷えるグッズを巻くなどの他の方法も良いでしょう。家庭で保護者が適切に判断し、日傘の使用も含めて決めていけば良いと思います。よくニュースで「命に関わる暑さ」「不用不急の外出は控えて」などのアナウンスがされています。そういった環境において学校はどうあるべきなのかを考えていく必要があるでしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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