2025年10月2日に日本財団は、不登校児支援のため新たな実証事業「不登校政策ラボ」を始動し、カタリバと青森県三沢市、東京都国分寺市、広島県三次市、鹿児島県大崎町と連携協定を締結した。この連携は不登校支援に課題を抱える自治体をサポートし、子供たちを学びや支援につなぐことを目指す。
日本財団とカタリバは、人口規模の異なる4つの自治体と共同で、不登校児童・生徒を支援施設や機関にどうつなぐかを官民連携で実証する「不登校政策ラボ」を開始する。これは、全国でも新しい試みだ。
青森県三沢市では、福祉部門への相談増加を背景に、教育と福祉の連携による包括的な支援を模索する。東京都国分寺市は、不登校児の状況把握と支援機能の強化を進め、広島県三次市はオンライン活用や新たに開設する学びの多様化学校の整備に取り組む。鹿児島県大崎町は訪問支援人員の不足を地域と連携して解決を図る。
連携協定は、「不登校児童の教育支援施策」「相談体制や支援環境の整備」「教育人材の活用と育成「その他連携が必要と認める事項」について連携・協力を進めていくという。
文部科学省の2023年度調査によれば、不登校長期欠席者数は約49万人に達しており、そのうち約13万人が支援につながっていない。フリースクール助成や支援体制の強化が進むが、新たな課題は「つなぐ」ことにあることが示された。経済的困難を抱える家庭支援が不十分なケースもあり、公的機関のさらなるサポートが求められる。
日本財団常務理事の佐藤英夫氏は「不登校支援の第一人者であるカタリバと不登校問題に本気で取り組みたいと考える自治体の皆さまと共に、具体的な解決策を探求し、さらにこの取り組みを検証し、その成果を全国に広げていくことも目指していきます」との意向を示した。カタリバ代表理事の今村久美氏は「『誰一人取り残さず支援・居場所・学びにつなぐ』を本当に実現していくために、ここをスタートとしながら誠心誠意力を尽くしたいと思います」と述べた。