千葉県教育委員会は2024年10月24日、全国学力・学習状況調査の問題や結果を踏まえた「授業実践アイデア」と「課題別実践アイデア」の具体例を公表した。小・中学校別で授業全体や単元全体を見通した授業の改善例と、課題部分で重点的に効果を発揮する具体例をそれぞれまとめている。
文部科学省は、全国的な学力や学習状況を把握・分析するため、2007年度から小学6年生と中学3年生を対象に「全国学力・学習状況調査」を実施。千葉県では同調査の問題や結果データなどを分析・活用して授業力向上を目指す取組みを推進。「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を進めていくために、授業実践のアイデア例などを共有することで、さらなる学力向上を目指している。
2024年度の「授業実践アイデア例」では、小学校国語「もしものために、防災リーフレットをつくろう」(4年生)と、中学校国語「新書ブックフェア~要約を通して新しい知の扉を開こう~」(1年生)を公表。「『思考し、表現する力』を高めるための実践モデルプログラム」を活用した授業・単元全体を見通した授業改善例を示した。
「課題別実践アイデア例」では、小学校国語「文の中における主語と述語の関係を理解する」と、中学校国語「表現の効果を考えて描写するなど、自分の考えが伝わる文章になるよう意図をもち、工夫して書く」を公表。具体的に課題となる部分に対して重点的に効果を発揮できるような取組みについて取り上げた。
4月18日に行われた「全国学力・学習状況調査」において、千葉県の小学校は国語・算数とも全国平均と同等であった。しかし、小学校国語では文の中における主語と述語の関係を理解することが苦手であったり、単元別にみると思考・判断・表現を評価する領域 「B 書くこと 」については、全国平均を2.2ポイント下回った。今回、小学校向けには、この2点についての授業力・学力向上アイデアを提案している。
一方、中学校は「全国学力・学習状況調査」で国語・数学とも全国平均と比較して1ポイント程度低い状況。今回は、表現の効果を考えて描写するなど、自分の考えが伝わる文章になるよう意図をもち、工夫して書くことが苦手という課題に対応するアイデア例と、国語大問2「読むこと(説明的な文章)」で取り上げられた「要約」について考える授業について具体例を提案した。
千葉県のWebサイトでは2021年度以降のアイデア例をPDFで公開。ダウンロードして利用できる。