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不登校者数・いじめ件数が過去最多…文科省調査

 2022年度の小中学校における不登校者数が過去最多の29万9,048人となったことが、文部科学省が2023年10月3日に公表した調査結果から明らかとなった。小中高校などで認知したいじめ件数も過去最多の68万1,948件となっている。

教育行政 文部科学省
不登校児童生徒数の推移
  • 不登校児童生徒数の推移
  • 小・中学校における長期欠席者数の推移
  • 学年別不登校児童生徒数
  • 不登校児童生徒が学校内外で相談・指導等を受けた状況
  • 学校内外で相談・指導等を受けた児童生徒の状況
  • 学校外の機関等で相談・指導を受け、指導要録上出席扱いとした児童生徒数
  • 自宅におけるICT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数
  • いじめの認知件数の推移

 2022年度の小中学校における不登校者数が過去最多の29万9,048人となったことが、文部科学省が2023年10月3日に公表した調査結果から明らかとなった。小中高校などで認知したいじめ件数も過去最多の68万1,948件となっている。

 「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」は、生徒指導上の諸課題の現状を把握する目的で、暴力行為、いじめ、不登校、自殺などの児童生徒の問題行動について、文部科学省が毎年度調査しているもの。調査対象は、国公私立小・中・高校・特別支援学校、都道府県・市町村教育委員会。

 2022年度の長期欠席は、小中学校が前年度比4万6,898人増の46万648人、高校が前年度比4,539人増の12万2,771人。このうち、病気や経済的理由などを除いて年間30日以上登校していない「不登校」は、小中学校で29万9,048人で、前年度から5万4,108人(22.1%)増加し過去最多となった。在籍児童生徒に占める不登校割合は3.2%(前年度2.6%)だった。

 出席日数の内訳は、0日が3.2%(前年度3.5%)、1~10日が7.5%(同7.8%)で、90日以上の欠席者は55.4%(同55.0%)にのぼる。不登校者数は10年連続で増加しており、背景には、長期化するコロナ禍による生活環境の変化に加え、児童生徒の休養の必要性を明示した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の趣旨の浸透などにより、保護者の不登校に対する捉え方の変化もあるとみられる。

 不登校児童生徒の61.8%にあたる18万4,831人の児童生徒は、学校内外の機関などで相談や指導を受講。このうち、学校外で相談・指導を受け、指導要録上出席扱いとした児童生徒数は3万2,623人と、前年度から4,626人増加している。また、不登校児童生徒のうち、自宅におけるICT活用などで学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数は1万409人だった。

 一方、いじめの認知件数は、小中高・特別支援学校で前年度比10.8%増の68万1,948件で過去最多となった。児童生徒1,000人あたりの認知件数は53.3件(前年度47.7件)。重大事態となったいじめ件数は923件(前年度706件)で、前年度に比べ217件(30.7%)増加した。

 小中高校から報告のあった自殺した児童生徒数は411人(前年度368人)。調査開始以来過去最多であった2020年度より2021年度は減少したものの、2022年度は再び増加に転じた。また、小中高校における暴力行為の発生件数は9万5,426件で前年度から1万8,985件(24.8%)増加している。

 文部科学省は、新型コロナによる環境の変化が子供たちの行動にも大きな影響を与えていると分析。共通施策として、個々の児童生徒の状況に応じた必要な支援や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、関係機関との連携、アウトリーチ機能の強化による教育相談体制などを進めるとともに、これらを踏まえた取組みを実施するため2024年度概算要求に予算を計上するとしている。

《川端珠紀》

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