文部科学省は2025年8月7日に開かれた教員養成部会において、公立小中高校の教員採用試験に係る第1次選考で、各自治体が共通問題を活用して実施する方針を固めた。試験実施を共同で行うことで、試験内容の質向上や、より丁寧な第2次選考の実施などの効果を見込む。
現在、都道府県や政令指定都市の教育委員会が個別に実施している公立小中高校等の教員採用試験では、それぞれの自治体が試験問題を作成し、試験運営を行っている。各教育委員会の採用選考担当は、学生募集から問題作成、試験当日の運営や採点対応などに従事する必要があり、教員志望者が複数自治体を受験する際は、現状それぞれの教育委員会が実施する試験に申し込み、それぞれの試験を受験する必要がある。
一方、共同実施では、複数の自治体が問題作成に参画することにより試験内容の質が向上。問題作成に係る負担軽減により、第2次選考において人物重視の丁寧な選考が可能になる。また教員採用選考に係る作業や経費の合理化により、学校現場への支援により注力できるほか、一度の試験の受験で複数自治体に応募できることによる、受験者数の増加なども見込める。
教員採用選考に係る第1次選考の共同実施については2024年1月より、全国11の教育委員会の参加を得て検討会を開催。共同実施を行う際の論点について議論を重ねてきた。共同実施で想定される実施方式は、第三者機関が作問から開催まで一括して処理する「統一試験方式」と、第三者機関が作成した問題を活用して従来通り各教育委員会が試験を運営する「共通問題配布方式」を想定。2025年4月には、全国の教育委員会に対して、共同実施への参画意向調査を実施し7月に協議会を発足。今回、2027年度に「共通問題配布方式」から取り入れる方針を固めた。
現時点での参加自治体数は51自治体(自治体名は非公表)。現在、検討会では共同実施開始に向け検討中で当面は、試験の実施日・実施科目、作問を外部委託する際の費用負担、各自治体における問題確認等の作業分担について、論点を整理する予定としている。