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教員による性暴力等防止法に基づくデータベースの活用状況、文科省が全国調査へ

 国は教職員による性暴力等の加害歴を管理する「特定免許状失効者等に関するデータベース」を整備し、教育職員を任命・雇用する際にこのデータベースを活用することを自治体に義務付けている。文部科学省は、全国の教育現場への周知と、活用状況の調査を行っている。

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 2022年4月、「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が施行された。この法律は、児童生徒を性暴力等の被害から守るために、教育職員等による性暴力の防止・早期発見・対処・再発防止に関する施策を総合的に定めたものである。

 さらに、国は教職員による性暴力等の加害歴を管理する「特定免許状失効者等に関するデータベース」を整備し、教育職員を任命・雇用する際にこのデータベースを活用することを自治体に義務付けている。しかし、あべ俊子文部科学大臣は2025年8月8日に行われた会見で、「教員採用にあたってデータベースへのユーザー登録や適切な活用ができていない事例が確認された」と述べ、全国の教育現場への周知と、活用状況の調査を行っていることを表明した。


教員による性暴力等防止法に基づくデータベースとは?

 正式名称は「特定免許状失効者等に関するデータベース」。「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」の規定に基づき、都道府県教育委員会が入力した特定免許状失効者等の情報を、各採用権者(教育委員会・国立大学法 人・学校法人等)が検索・閲覧できる。2022年度に構築され、2023年4月1日から稼働している。

 学校の教育職員等を任命または雇用しようとするときには、このシステムを活用することが義務付けられており、任命または雇用を希望する者が特定免許状失効者であった場合、その情報をもとに、採用面接などを通じて経歴等をより詳細に確認するなど、十分に慎重に、適切な任命または雇用の判断を行うことが求められる。

〇対象施設
 幼稚園(幼稚園型認定こども園含む)、幼保連携型認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校

〇対象となる職
 教育職員(教諭等)、校(園)長、副校(園)長、教頭、実習助手、寄宿舎指導員

〇データベースに表示される情報
 児童生徒性暴力等を行ったことにより教員免許状が失効又は取上げとなった者の以下の情報
 ※ 氏名、生年月日、免許状の情報、失効・取上げ年月日、失効・取上げ事由、児童生徒性暴力等の類型(法第2条第3項第○号)等

〇情報の掲載期間
 当面少なくとも40年間

〇利用方法
 1)対象施設から文部科学省へ利用登録
 2)利用登録が許可された対象施設の採用権限を有する者が、データベースを検索、閲覧

〇データベース該当者への対応
 採用面接等を通じ経歴等のより詳細な確認を行うなど、法の基本理念にのっとり、当該者が児童生徒性暴力等を再び行わないことの高度の蓋然性が確認できるか、十分に慎重に、適切な任命又は雇用の判断を行う

〇情報管理
 個人情報保護法に基づく安全管理措置を講じる
 同法違反の事案については罰則が課される

特定免許状失効者管理システムの稼働状況(2025年4月1日現在)

 特定免許状失効者等の登録件数/2,698件
 システム利用者登録件数/約6,500件


 データベース活用状況に関する調査については9月下旬をめどに回答を得たのち、年内をめどに調査結果が公表される見込みだ。

《外岡紘代》

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