文部科学省は2025年12月25日、2025年度採用の公立学校教員採用選考試験の実施状況を発表した。全国の都道府県および指定都市教育委員会が実施した同試験の競争率は、過去最低の2.9倍となり、前年度の3.2倍から低下。採用者総数は3万7,375人で、前年度に比べて954人増加した一方、受験者総数は10万9,123人で、7,059人減少した。
この調査は、毎年度、文部科学省が実施しているもので、教員採用の現状を把握し、今後の教育政策に生かすことを目的としている。今回の結果では、採用者数が1986(昭和61)年以降最多となった一方で、受験者数は減少し過去最少だったことが明らかになった。
小学校の競争率は2.0倍で、前年度の2.2倍から低下。採用者数は1万7,078人で、前年度に比べて285人増加したが、受験者数は3万4,434人で、2,025人減少した。中学校では競争率が3.6倍となり、前年度の4.0倍から低下。採用者数は1万168人で、前年度より338人増加したが、受験者数は3万6,621人で、2,652人減少している。高等学校の競争率は3.8倍で、前年度の4.4倍から低下。採用者数は5,152人で、235人増加したが、受験者数は1万9,705人で、1,717人減少した。競争率は、小学校・中学校・高等学校において過去最低となった。
文部科学省の分析によると、採用者数は2000(平成12)年度以降増加し、ここ数年でみてもやや増加傾向にある。採用倍率低下については、教師の年齢構成に起因する大量退職等にともなう採用者数の増加と、既卒の受験者数の減少によるところが大きい。2025年度採用においては、定年延長の影響による2024年度末の退職者の大幅な増加、特別支援学級の増加等を背景とした採用の拡大が、児童数の減少にともなう教師数の自然減や、各自治体における採用者数の平準化による調整等を上回ったと考えられるという。
地域別にみると、鳥取県が6.6倍ともっとも高く、高知県5.9倍、沖縄県5.0倍が続く。一方、富山県は1.8倍、新潟県と長崎県は1.9倍と2.0倍を下回った。なお、東京都は2.1倍で、前年度1.9倍より0.2ポイント増加した。
文部科学省は、意欲ある教師志願者を確保するため、教員採用選考の早期化、複数回実施や社会人選考等の工夫改善を引き続き教育委員会に要請。教師が「働きがい」と「働きやすさ」をともに実感できる環境整備を進めるため、学校における働き方改革のさらなる加速化、教師の育成支援を一体的にするなど、総合的に推進していく。また中央教育審議会において、教師の質向上と入職経路の拡幅の観点から、免許制度等改革について議論しており、審議結果も踏まえ必要な改革を実行していくとしている。








