あべ文部科学大臣は2025年7月15日の記者会見で、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表したと報告した。夏休み前の結果公表は調査開始以来初。このほか、文部科学白書の公表、相次ぐ教員による性暴力事件、いじめ重大事態の対応などについて見解を述べた。
文部科学省は7月14日に、小学6年生と中学3年生の全員を対象に4月に実施した2025年度(令和7年度)全国学力・学習状況調査の結果を公表した。全国平均正答率は、国語と算数・数学で小・中学校共に前年度より下がり、特に中学3年生の数学は48.8%と5割を下回った。
あべ文部科学大臣は、全国学力テストの結果のうち、中学校理科については、従来の正答率だけでなく、PISAなど国際的な調査でも採用されているテスト理論「IRT(項目反応理論)」に基づくスコア、さらに5段階の理解度も示すなど、新しい尺度を採用したと報告。今後、細かな分析結果を順次公表し、学習指導の改善に向けて支援していくと語った。調査結果は2025年度から3回に分けて公表される。
また、2024年度(令和6年度)の文部科学白書を7月15日の閣議で配布したことについても報告。第1部の特集では、2月に中央教育審議会で取りまとめられた答申の内容のほか、2024年7月から9月にかけて開催されたパラリンピックについて取り上げ、選手の活躍を支えた文部科学省の取組みなどを紹介しているという。
一方、相次ぐ教員による子供への性暴力事件についての記者からの質問には、オンライン教育長会議を緊急開催し、未然防止に向けた具体策の徹底を求めたと報告。関連して名古屋市教育委員会が、教員採用時に教員性暴力等防止法のデータベースを活用していなかったことについては、「2度とこのようなことがないよう猛省していただきたい」と強く発言した。
いじめ重大事態の対応を巡っては、茨城大学附属小学校が文部科学省に誤った報告をするなど、大学学長が3度にわたり保護者に謝罪する異例の事態となっている。あべ文部科学大臣は、この事案では調査期間が長いという指摘もあるが、期間は事案によって異なることから、一概に妥当性について見解を述べることは困難としたうえで、ガイドラインに基づき、被害児童生徒や保護者の切実な思いに寄り添う対応が重要であると語った。