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教員採用競争率Top10、採用数は増加傾向にあるものの不足解消せず

 公立学校の教員採用者数は過去最低だった2000年度の1万1,021名から増加を続け、2024年度には3万6,421名となっている。こうした状況においても、依然として教師不足は解消されていない。

教育行政 文部科学省
教員採用競争率Top10、採用数は増加傾向にあるものの不足解消せず
  • 教員採用競争率Top10、採用数は増加傾向にあるものの不足解消せず
  • 総計 受験者数・採用者数・競争率(採用倍率)の推移
  • 小学校 受験者数・採用者数・競争率(採用倍率)の推移
  • 中学校 受験者数・採用者数・競争率(採用倍率)の推移
  • 高等学校 受験者数・採用者数・競争率(採用倍率)の推移
  • 各県市別の競争率(採用倍率)

 教員不足(※)が深刻化するなか、臨時教員の確保が困難になり、文部科学省が公立学校に教員資格をもつ塾講師らを臨時教員として派遣するモデル事業の検討に入ったことが報じられている。

 文部科学省が2024年(令和6年)12月26日に発表した「令和6年度(令和5年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況のポイント」によると、採用者数は過去最低だった2000年度の1万1,021名から増加を続け、2024年度には3万6,421名となっている。

 こうした状況においても教員不足は解消せず、文部科学省が2024年7月9日に公開した「『教師不足』への対応等について(アンケート結果の共有と留意点)」において、「多くの教育委員会において教師不足の状況が依然として厳しいことが明らかとなりました」としている。

 一方で競争率(採用倍率)は、2000年度の13.3倍を最高に低下が続いており、2024年度には3.2倍まで落ち込んでいる。これに対し文部科学省は「大量退職等に伴う採用者数の増加と既卒の受験者数の減少によるところが大きい」と分析している。

 競争率を学校種別ごとにみていくと、小学校では2000年度の12.5倍をピークに2024年度には2.2倍まで低下。中学校は2000年度の17.9倍をピークに2024年度の4.0倍へ、高等学校では2007年度の14.2倍をピークに2024年度の4.3倍へ、いずれも低下傾向が続いている。

 各県市別の小学校・中学校の競争率は下記のとおり。

・小学校:競争率の高い県市(Top10)
鳥取県 7.5倍
高知県 5.3倍
奈良県 4.5倍
徳島県 3.7倍
香川県 3.7倍
兵庫県 3.6倍
栃木県 3.5倍
京都市 3.4倍
北九州市 3.4倍
仙台市 3.3倍
神戸市 3.3倍

・中学校:競争率の高い県市(Top10)
鳥取県 11.0倍
高知県 9.4倍
仙台市 7.2倍
徳島県 6.3倍
浜松市 5.7倍
奈良県 5.6倍
三重県 5.4倍
岡山市 5.4倍
宮城県 5.0倍
和歌山県 5.0倍

 もっとも競争率が低いのは、小学校では熊本県、鹿児島県、熊本市の1.2倍、中学校では佐賀県の1.6倍だった。

 小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、養護教諭、栄養教諭の合計でもっとも高倍率だったのは鳥取県の8.0倍でだった。

※文部科学省は「教員不足」に関する調査の中で「臨時的任用教員等の講師の確保ができず、実際に学校に配置されている教師の数が、各都道府県・指定都市等の教育委員会において学校に配置することとしている教師の数(配当数)を満たしておらず欠員が生じる状態」を教員不足と定義としている。

《編集部》

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