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英検協会×宇都宮大、証明書デジタル化実証

 日本英語検定協会と宇都宮大学は2025年11月27日、大学や高校が発行するPDF形式の成績証明書などを、信頼できるデジタル証明として扱う共同実証実験の成果を公表。既存の運用を大きく変更することなく導入できる見通しが確認された。

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日本英語検定協会と宇都宮大学、証明書業務のデジタル化における共同実証実験の成果を公表
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  • 実証実験の内容
  • 実証で確認されたおもなメリット

 日本英語検定協会と宇都宮大学は2025年11月27日、大学や高校が発行するPDF形式の成績証明書などを、信頼できるデジタル証明として扱う共同実証実験の成果を公表。既存の運用を大きく変更することなく導入できる見通しが確認された。

 この実証実験は、2025年6月に両者が公表した「生涯学習プラットフォーム」開発協定の一環として実施。教育現場での証明書業務をデジタル化し、紙の書類のやり取りを減らしながら、安全なオンライン提出環境の構築を目指している。

 実証実験では、英検協会と宇都宮大学の職員が大学・高校の運用を想定し、学生や教職員の立場を模して検証を実施。検証項目はおもに「大学証明書のデジタル(VC)化」「高校調査書の非閲覧制御機能」「PDFのOCR変換」「既存連携の拡張性」の4点で、現場の運用を大きく変えずに導入できる可能性が確認された。

 大学入試出願では、調査書や活動報告書などをデジタル化することで、オンラインでの提出・確認が可能となる。非閲覧制限を保ったままデジタルで完結できるため、手続き上の不安も抑えられる。在学生・卒業生にとっても、証明書発行の利便性が向上。学生は必要なときに即座に各種証明書にアクセスでき、卒業生は大学への来校や書類の郵送が不要になる。

 将来的には、「生涯学習プラットフォーム」への実装により、受験生は証明書をまとめて管理でき、出願準備が容易になる。高校・大学の教職員にとっては、封緘・郵送などの事務負担の削減に加え、秘匿性が担保された安全な発行・提出が可能となる見込みだ。

 英検協会は今回の実証を踏まえ、全国の高校・大学、出願システム事業者との連携を進め、教育現場に負担をかけない導入を目指すとしている。具体的には、国際標準規格「W3C VC」に準拠した改ざん検知・真正性確認の自動化、既存のPDF出力運用を維持したまま導入できる「ゼロ改修導入設計」、閲覧を制限する「非閲覧制御技術」などを開発しており、現在特許出願中だという。

 今後は、先行導入校を募集して実際の運用に近い形での手順やルールを整理するほか、大学入試や資格出願などの手続きを一元管理できるよう、出願プラットフォームとの連携拡大を図る。さらに、学校現場で安心して利用できるよう、非閲覧制御や保管・提出・監査に関する標準ルールの整備も検討していく方針だ。

《風巻塔子》

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