あべ文部科学大臣は2025年7月1日の記者会見で、大学入学共通テスト、海外研究者への支援、教室内の防犯カメラ設置の是非などについて方針や考えを示した。女子児童を盗撮した画像をSNSで共有して逮捕された事件をめぐっては、関係した教員らに一刻も早く名乗り出てほしいと語った。
大学入学共通テストは、電子出願システムの導入にともない、受験者が出願サイトでアカウントを登録し、マイページを作成する必要がある。マイページの作成は7月1日より開始。文部科学省では、大学入試センターと連携し、高校関係者への複数回の説明会を実施するなど、丁寧な情報発信を進めるとしている。
また、海外で活躍する優秀な研究者の受け入れを戦略的に進めるため、大学ファンドを活用した緊急支援が決まった。日本トップレベルの大学に対し、2025年度からの3年間で総額33億円を助成するというもので、あべ文部科学大臣は、準備が整い次第、対象の大学の公募を行い、9月中に支援大学を決定する予定と語った。
博士課程学生向け支援事業制度における留学生への支援の見直しについても言及。日本人学生の博士後期課程への進学支援を強化する一方で、留学生への生活費相当額の支援は行わない方針を示した。文部科学省は、博士人材の確保に引き続き努める意向を示した。
一方、名古屋市と横浜市の小学校教員が、女子児童を盗撮した画像などをグループチャットで共有したとして逮捕された事件を受け、あべ文部科学大臣は、チャットに参加していた教員らに対し、「子供たちの前からすぐに離れて一刻も早く名乗り出ていただきたい」と語った。文部科学省では、再発防止に向けて全国の教育委員会に対し、同日付で文書を発出。近く文書だけではなく、オンライン会議で直接説明する予定と述べた。
教員による児童生徒へのわいせつ事案などが全国で相次ぎ、教室内の防犯カメラ設置についても議論が行われた。あべ文部科学大臣は、一般教室への設置を広く推奨することには慎重な姿勢を示し、複数の人の目が届きにくい1対1の面談の場面など、限定的なカメラ活用を考慮していると述べた。いずれにしても、保護者や児童生徒の理解を得ることが必要との見解を示した。
高校教育改革に関する検討については、8月中に中間まとめが行われるとの報道があったが、あべ文部科学大臣は「そういった事実はございません」と否定した。引き続き、3党の検討チームで取りまとめられた大枠の整理また骨太の方針などを踏まえ、高校教育改革また教育の向上につながるよう引き続き検討を進めていくとしている。