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【全国学力テスト】数学の図形証明は無解答率3割超、大きな男女差なし

 文部科学省は2025年7月31日、全国データに基づく、2025年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。平均正答率は小・中学校共に前年度より下降。特に、中学校数学は図形証明で無解答率が31.2%にのぼり、平均正答率は5割を下回った。

教育行政 文部科学省
教科に関する調査結果(中学校数学)
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  • 令和7年度全国学力・学習状況調査の結果(概要)のポイント
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 文部科学省は2025年7月31日、全国データに基づく、2025年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。平均正答率は小・中学校共に前年度より下降。特に、中学校数学は図形証明で無解答率が31.2%にのぼり、平均正答率は5割を下回った。

 2025年度全国学力テストは4月14日~17日、全国の国公私立の小学6年生と中学3年生を対象に国語、算数・数学、理科の教科調査と質問調査を実施した。今回の調査では、小学校1万8,470校、中学校9,584校を対象に集計。ただし中学校理科はCBTで実施し、今回よりIRT(項目反応理論)に基づき算出したスコアにより結果を表示しているため、ここでは過年度との比較から除く。なお、中学校理科の平均IRTスコアは505(標準偏差124.6)となっている。

 平均正答率は、小学校が国語67.0%(男子63.1%・女子70.9%)、算数58.2%(男子59.0%・女子57.3%)、理科57.3%(男子55.8%・女子58.8%)、中学校が国語54.6%(男子52.0%・女子57.4%)、数学48.8%(男子49.1%・女子48.6%)。全教科で前年度より下降、特に中学校の数学は5割を下回った。

 無解答率がもっとも高かった問題は、中学校数学の図形の証明問題(大問9-3)。無解答率31.2%。誤答例では、「四角形AGCHは平行四辺形である」という結論を根拠として用いたパターンや、「向かい合った2組の辺が平行だから、四角形AGCHは平行四辺形である」と根拠を明らかにして表現することができなかったパターンが多くみられた。このほか、中学校数学では、数学の用語の意味の理解や、確率の問題では不確定な事象の起こりやすさの傾向を捉え、判断の理由を数学的な表現を用いて説明することなどで課題がみつかった。

 一方、小学校の算数は、大問3-3の数直線上で1の目盛りに着目し、分数を単位分数の幾つ分として捉えることができるかどうかをみる問題が正答率35.4%。大問4-4の「10%増量」の意味を解釈し、「増加後の量」が「増加前の量」の何倍になっているかを表すことができるかどうかをみる問題が正答率41.3%と低かった。

 国語は、小学校が文章と図表などを結び付けるなどして必要な情報を見付けることができるかどうかをみる大問3三-2が正答率56.5%。中学校が自分の考えが伝わる文章になるように、根拠を明確にして書くことができるかどうかをみる大問1四が正答率31.2%と低かった。

 質問調査では、「授業の内容がよく分かる」児童生徒ほど各教科の正答率・スコアが高い傾向が見られたが、「当てはまる」と回答した児童生徒の割合は全教科で前回調査から減少した。また、算数・数学、理科の平均正答率・スコアに大きな男女差は見られなかったが、「得意」と考える割合は、女子の方が男子より低いことがわかった。

 全国学力テストの結果公表は、2025年度より3段階に分けて実施。今回が第2弾となり、8月以降に都道府県・指定都市別データに基づく分析結果が公表される。2025年度全国学力テストの集計結果は、国立教育政策研究所のWebサイトで公開している。

《川端珠紀》

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