内田洋行は2025年12月5日、ルクセンブルクに本社を置くOpen Assessment Technologies S.A.(以下、OAT社)と共同で開発する次世代版CBTプラットフォーム「TAO(タオ)」のフルラインアップを世界に先駆けて日本で発表した。
データを活用した教育や学習方法が求められるなか、学力調査や各種アセスメントでは、紙からタブレットやPCを活用したCBT(Computer Based Testing)への移行が急速に進んでいる。円滑な活用のためには、多様な受検者が参加でき、大量の端末からのアクセスに耐え、収集したデータの活用を図るクラウドプラットフォームが不可欠だ。このような背景から、内田洋行とOATは共同で開発を進め、最新のCBT基盤を目指してきた。
「TAO」は、オープンスタンダードな技術を採用し、CBTシステムをネットワーク上で実現することを目指して2002年から開発が進み、研究と活用が続けられてきたシステムだ。2013年にOAT社を設立して以降、フランスやイタリア、イギリス、アメリカなどの主要国の大規模かつ重要な学力調査で採用され、現在では年間延べ3,000万人以上が利用する、CBTプラットフォームにおける世界標準としての地位を築いている。
日本では、内田洋行がOAT社と2016年から連携してCBT環境整備を進め、2020年には文部科学省CBTシステム「MEXCBT(メクビット)」で「TAO」が採用された。両社が中心となって開発と運用を担い、教育現場のCBT化を支えるシステムとして活用が進んでいる。
一方、近年のクラウドの発展とIT端末の高機能化にともない、CBTプラットフォームには、より大規模なテストを安定して実施できる性能や、柔軟にデータがつながり合う教育デジタルエコシステムなど、より開かれた高度な機能が求められるようになった。
新たな機能に対応する次世代版「TAO」の開発体制を整備するため、OAT社は2023年に内田洋行グループに合流。2025年に実施されたOECD「生徒の学習到達度調査(PISA)」では、プラットフォームとして次世代版が採用され、106の国と地域での実運用において大きな成果を上げた。
次世代版「TAO」は、「すべての人が、どんな環境でも公平に同じテストに参加できる」を理念に、視覚・聴覚・肢体・認知・言語など、さまざまな特性を持つ受検者に配慮したユーザーインターフェースを取り入れるなど、アクセシビリティを大幅に強化。
システムはクラウドネイティブ構造に刷新したほか、教育のデジタル基盤を支える「オープンスタンダード」に準拠し、最新の国際技術標準に対応した設計を採用した。さらに、誰でも簡単に問題作成ができるオーサリング機能を搭載。問題・テストを体系的に蓄積し、タグ付け・検索等のライブラリ機能を強化し、過去問題の再利用や改訂を簡単に行えるようになった。
今後は、国家資格試験など高いセキュリティが求められるオンライン試験にも対応できるよう、試験の不正監視機能の拡張を予定しているほか、問題の分類やキーワードなどの必要な情報(メタデータ)をAIが補完し、問題文の構成を自動で提案し、よりわかりやすい問題作成をサポートする。このほか、ジェンダーバイアスをチェックするなど問題文の表現を補正する機能なども計画しているという。








