文部科学省は2025年2月26日、令和7年度以降の全国学力・学習状況調査の結果取扱いについて議論を行った。会議には複数の委員が出席し、IRT(項目反応理論)の導入による設問難易度の明示や、都道府県別結果の公表方法について意見を交わした。
この会議では、全国学力・学習状況調査の結果取扱いに関する議論が行われた。調査のおもな目的は、児童生徒の学力を把握し、教育の質を向上させることである。調査結果の公表方法やフィードバックのあり方について、委員たちはさまざまな視点から意見を述べた。なお、IRT(Item Response Theory:項目反応理論)とは、児童生徒の正答・誤答が、問題の特性(難易度、測定精度)によるのか、児童生徒の学力によるのかを区別して分析し、児童生徒の学力スコアを推定する統計理論。
委員からは、IRTの導入により個々の設問の難易度に着目できるようになるとの意見が出た。IRTに基づく設問の難易度を示せるようになれば、調査結果を解釈する際の教師の負担軽減も期待できるという。
一方で、児童生徒への直接的なフィードバックには慎重な意見が多かった。児童生徒が正直に回答しなくなる可能性があるため、学校や学級単位でのフィードバックが望ましいとされた。また、調査結果をシンプルに示すことが教師の解釈を妨げる可能性があるため、学級全体と個々の状況を見える形で示すことが重要とされた。
都道府県別の結果公表についても議論が行われた。平均正答率だけでなく、分布を公表することで、学力をより多角的に捉えることができるとされた。平均正答率のみに注目が集まらないよう、他のデータとセットで示すことが重要であるとされた。
さらに、調査結果の公表スケジュールについても意見が交わされた。都道府県が結果を分析する時間を確保するため、スケジュールの改善が求められた。CBT(Computer Based Testing:端末を用いて実施する試験方式)の導入により、児童生徒の解答結果を早期に返却することが可能になるとされ、学校現場での活用が期待されている。
このように、全国学力・学習状況調査の結果取扱いについては、さまざまな意見が交わされ、今後の改善に向けた方向性が示された。