小学館は、学校教員向け教育情報メディア「みんなの教育技術」、保育者向けプラットフォーム「ほいくる」、子育てメディア「HugKum」の3媒体合同で「教育に関するアンケート調査」を実施し、2026年4月にその結果を公開した。小学校入学前後の接続期において、教師・保育者・保護者の三者間に存在する認識のズレ、いわゆる「見えないすれ違い」の構造が明らかになった。
就学時点で子供に身に付けてほしい力について、教師と保育者の認識には明確な差が見られた。教師は「身辺自立(88.1%)」や「指示を聞いて行動する力(67.3%)」など、学校生活における基本的な行動や規律を重視している。一方、保育者は「感情を言葉で表現する力(70.5%)」や「友だちと協力する力(47.7%)」など、情緒面や対人関係の基盤を優先している。
この優先順位の違いが、就学接続における認識のズレの出発点となっていることが示された。保育内容への評価、保育者の不安と教師の期待に大きな乖離。保育内容に対する評価について、保育者側の認識と教師側の期待の間に大きな乖離があることがわかった。
保育者の50.8%は「小学校教師から遊び中心で指導がないと思われている」と感じており、27.3%は「学力軽視と思われている」と不安を抱いている。
しかし、実際に教師が園に対して「学力の基礎」を期待している割合は1.3%にとどまった。教師が求めているのは学力の前倒しではなく、「集団行動のルール理解(45.6%)」であることが示された。
調査でもっとも大きな認識ギャップが確認されたのが、学習のつまずきの原因に関する認識の差だ。教師の57.5%は、保護者が子供の学習のつまずきの原因を「学校のせいと考えているのではないか」と推測している。
一方で、実際に「学校任せでよい」と回答した保護者は0.7%(549名中4名)にとどまった。多くの保護者は「情緒面の支え(81.8%)」「しつけ(75.2%)」「学習習慣(61.4%)」など、家庭の役割を明確に認識している。
実態としては学習面での保護者から学校への責任の押し付けは起きていないにもかかわらず、相互の認識のズレが生じている構造が確認された。
園に対する評価についても、保育者と保護者の間に認識の差が見られた。保育者のうち、園が「生活の場」として評価されていると認識している割合は20.5%にとどまった。一方で、保護者の50.6%は、園を単なる預かり先ではなく、家庭と並ぶ「生活の場」として評価している。
自由記述において、保護者からは園への感謝の声が多く寄せられており、保護者は園の生活の場としての価値を高く見積もっている傾向が見られた。
就学接続における課題について、三者は異なる観点から不安を抱いていることがわかった。教師は「発達理解のズレ(27.4%)」や「情報共有不足(22.6%)」など、大人同士の連携に課題を感じている。保育者は「支援体制の引き継ぎ(42.4%)」を中心に、特に情緒面や対人関係に関する情報共有の不足を懸念している。保護者は「友人関係(51.9%)」をもっとも不安視しており、「学習についていけるか(20.8%)」を大きく上回っている。
教師、保育者、保護者という三者間の声を総合した調査結果が示したのは、三者の間に存在するズレが対立によるものではなく、「対話不足」によって生じているという点だ。
教師は保護者を対等なパートナーとして期待し、保護者は学校や園に対して高い信頼と感謝を寄せている。また、保育者は子供の情緒的な成長を重視しながら教育に取り組んでいる。しかし、それぞれの認識や期待が共有される機会が十分でないため、実態とは異なる理解が生まれ、「見えないすれ違い」となって表出している。
就学接続の課題を単一の問題として捉えるのではなく、三者の認識構造を踏まえた対話の設計が求められている。アンケート結果の詳細レポートは、小学館の各Webメディアよりダウンロードできる。













