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【クレーム対応Q&A】学校から聞こえる音がうるさい

 保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第6回は「学校から聞こえる音がうるさい」。

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 学校に寄せられるさまざまなクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第6回は「学校から聞こえる音がうるさい」。

多い苦情は「運動会の練習」


 今回の新型コロナウイルスの影響で、在宅でのテレワークとなった人がいます。それまで昼間は仕事場へ行っていた人が、自宅で仕事をすることが増え、学校から聞こえてくる音が気になってしまうというケースがあるようです。

 コロナ以前からも学校のさまざまな音に関しての苦情はありました。その中でも多かったものは「運動会」に関するものです。特に「運動会の練習」に関するものが多いです。

 私も学校の内部にいた人間なので気づきにくかったのですが、学校の校庭のスピーカーの音はかなり広範囲に響きます。あまり騒がしくない住宅街であれば、学校から100m位離れた場所でも十分に聞くことができるほどです。

 チャイムの音であれば、短時間で終わりますし、周りの人も時計がわりに利用することなどもでき、重宝だと感じる人もいるかも知れません。ただ、運動会に向けての練習におけるダンスの音楽などの場合は、受ける印象が随分と違います。そのうえ、教師が子どもを叱る声がスピーカーを通して流れてくるようでは苦情を言いたくもなると思います。

 運動会の練習に関する音は、その時間に練習している子どもや教員はその時間だけですが、周りで聞いている人は一日中聞くことになります。そういったことをイメージすることができるかが大事になります。

具体的な対応は…


 具体的な対応としては、まずは丁寧に対応し、謝罪などをすることになります。そのうえで、実際にどのような感じで音が聞こえるのかなどを教員が聞きに行くことを強く勧めます。もちろん、苦情を言われた方の家に行って聞かせてもらっても良いのですが、周辺であれば状況は似たようなものなので、大丈夫でしょう。音がどの程度聞こえてくるのか、マイクを通して子どもを叱っている声を聞いたらどのように感じるのかなどを実体験することは教師にとって大きな気づきになります。

「運動会に向けて、一生懸命練習をすること」
「すべての子どもにとって聞き取りやすいように大きな音量で音楽を流すこと」
「子どもに対し、違っている部分を熱心に指導すること」
これらの1つ1つはもちろん正しいことです。ただ少し違う視点(学校からだけの視点ではなく)で見ると、捉え方が少し違ってきます。学校では色々な場面で「子どものため…」という理由で、物事が決まっていきます。そういったことの良い面はあるのですが、それだけではダメなのだと感じています。

 「物事を多面的に捉える」ということは、現在の教師に求められる資質の1つでしょう。「想像力を働かせる」とも言い換えることもできるかも知れません。そういった発想をすることができれば、今回の「学校からの騒音」についても適切な対応ができるでしょう。こういった考え方は「学校からの騒音」だけに関するものではありません。1つの物事に対し、「親の立場」「地域住民の立場」「行政の立場」で考えることができるようになれば、取り組み方が違ってきます。それは単に色々な方面に配慮をし、萎縮をしていくという意味ではありません。学びの可能性について、多面的に考え、協働していくことを意味しています。子どもを真ん中にして、その周りにあるもの(人)とより良く関わっていく中で、子どもの学び・育ちの質が高まっていくこととなるでしょう。

鈴木 邦明(すずき くにあき)
平成7年 東京学芸大学教育学部 小学校教員養成課程理科専修卒業。平成29年 放送大学大学院文化科学研究科生活健康科学プログラム修了。神奈川県横浜市、埼玉県深谷市で計22年、小学校教諭として勤務。現場教員として子どもたちの指導に従事する傍ら、幼保小連携や実践教育をテーマとする研究論文を多数発表している。こども環境学会、日本子ども学会など、多くの活動にも関わる。平成29年4月からは小田原短期大学特任講師、平成30年4月からは帝京平成大学講師として、子どもの未来を支える小学校教諭、幼稚園教諭、保育士などの育成や指導に携わる。
《鈴木邦明》

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