教育業界ニュース

【クレーム対応Q&A】授業についていけないのは先生の教え方のせい

 学校に寄せられるさまざまなクレーム。特に今年はコロナ禍で保護者会や個人面談ができず、学校と家庭のコミュニケーションの場が減り、保護者の不満が溜まりつつある。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?

事例 その他
画像はイメージ
  • 画像はイメージ
 学校に寄せられるさまざまなクレーム。特に今年はコロナ禍で保護者会や個人面談ができず、学校と家庭のコミュニケーションの場が減り、保護者の不満が溜まりつつある。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?

 神奈川県と埼玉県で計22年、小学校教諭として教壇に立ち、クラス担任として豊富な経験があり、現在は大学で教員養成、保育者養成に携わっている鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第1回は「子どもが授業についていかれないのは先生の教え方のせいだ」。

クレーム対応はスキルアップのチャンス



 はじめに、親から教師(学校)へのクレームなどに対応する際の基本的な考え方について触れたい思います。親が教師に何かのクレーム(苦情など)を言ってきている状況は、教師としては少し気分が良くないものです。ただそのことによって自分の問題点が改善され、スキルアップにつながると捉えることもできます。そのように思うと少し気分が楽になります。

 また、クレームを言ってくる親は、苦情を言っている内容に不満などがあることは事実なのですが、それ以外の要素がある場合もあります。たとえば、夫婦関係がうまくいっていない、同居の両親などから色々と言われているなどです。そういったことでイライラとしており、そのはけ口として、学校にクレームを言って来ているということもあります。学校を含めた公的機関は一般市民にとっては「文句を言いやすい」ところです。

 そういったことなども踏まえて対応することが大事になります。親などからのクレームに関しては、まず「聞く」ことが大事です。その後、「確認」し、最後は「方向性を見出す」という流れが基本的なものになると思います。

 まず相手の言うことを「聞く」ということ。どんな内容、たとえかなり理不尽なことであっても、まずは相手が自分の考えを言い終えるまで話をさせることが得策です。こちらは「そうですね」「ふーん」などと相槌を打ちながら聞きます。

 そのうえで少し客観的に状況の「確認」をします。親が話していたことで、こちらがそれまで知らなかったことについて改めて聞いたり、親が知らないこちらが持っている情報などを伝えたりすることなどです。そうすることで、考えていく「土台(ベース)」ができ上がります。

 最後に、確認した土台をもとに、今後どうしていくのかという「方向性を見出す」ようにします。その際は教師と親が一緒に考えていくことが大事です。

しっかり話を聞き、状況を確認する



 少し前置きが長くなりましたが、今回の「子どもが授業についていかれないのは先生のせいだ」というクレームについて考えてみます。先ほども触れたように、まずはしっかりと親の話を聞くことが大事です。その後、たとえば「どの教科のことなのか?」「何がきっかけでそのように思ったのか?」「家庭ではどのように過ごしているのか?」「何か他にトラブルが起こっているものはないのか?」などを聞きながら、状況の確認をします。このくらいになると、親も少し落ち着いてくるはずです。問題は、勉強だけではないことが見えてくることが多いと思います。「宿題がやれていない」のは、家庭での過ごし方に問題がある場合が多いです。

子どもの育ちは「学校」「家庭」両者の協力が必要



 そのうえで、より良い状況(このケースでは子どもが授業についていく)にするためにはどうしたら良いのかを考えていきます。子どもの育ちは学校だけ、家庭だけではないので、両者の協力が必要であることなどを伝え、現在の状況で、学校(担任)としてできること、家庭(親)としてできることを考えます。学校ができることとしては、「授業中にこれまで以上に内容が理解できているのかを確認するようにする」ことや「テストで間違えた部分を確認する」などでしょう。家庭ができることとしては、「宿題の有無の確認をする」「宿題をやったのかの確認をする」「朝に忘れ物がないか声かけをする」などです。それぞれができそうなことをやってみることを確認し、その場の話は終わりにすると良いでしょう。今後も、定期的に情報交換することを約束すると良いと思います。

鈴木 邦明(すずき くにあき)
平成7年 東京学芸大学教育学部 小学校教員養成課程理科専修卒業。平成29年 放送大学大学院文化科学研究科生活健康科学プログラム修了。神奈川県横浜市、埼玉県深谷市で計22年、小学校教諭として勤務。現場教員として子どもたちの指導に従事する傍ら、幼保小連携や実践教育をテーマとする研究論文を多数発表している。こども環境学会、日本子ども学会など、多くの活動にも関わる。平成29年4月からは小田原短期大学特任講師、平成30年4月からは帝京平成大学講師として、子どもの未来を支える小学校教諭、幼稚園教諭、保育士などの育成や指導に携わる。
《鈴木邦明》

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top