教育業界ニュース

子供7割「勉強の仕方がわからない」過去4年で増加

 「上手な勉強のしかたがわからない」という子供が2019年以降、右肩あがりに増加が続き、2022年には約7割に達したことが、東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が2023年4月11日に公表した調査結果から明らかとなった。

事例 その他
学習方法に対する悩みの変化
  • 学習方法に対する悩みの変化
  • 学習方法・学習意欲・学習時間・成績の関連(相関係数)
  • 学習方法の理解に関する2か年の変化(2021年→22年)
  • 学習意欲の変化(学習方法の理解の変化別、2021年→22年)
  • 成績の変化(学習方法の理解の変化別、2021年→22年
  • 論理的な思考・粘り強さ(学習方法の理解の変化別×成績別)
  • 「子どもの生活と学びに関する親子調査2016-2022」第2-8回各年のサンプル数(親子ペア)

 「上手な勉強のしかたがわからない」という子供が2019年以降、右肩あがりに増加が続き、2022年には約7割に達したことが、東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が2023年4月11日に公表した調査結果から明らかとなった。

 調査は、東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の共同研究プロジェクトで、同一の親子約2万1,000組(小学1年生~高校3年生)を対象に実施。「子どもの生活と学び」の実態を明らかにするため、2015年以降8年間にわたり複数の調査(各年7~9月)を行い、12学年の親子の意識・行動の変化を継続的に追跡したもの。なお、2015年調査は今回の分析には含まれていない。

 小学4年生~高校3年生までの全体でみると、「上手な勉強のしかたがわからない」という子供は2019年(57.2%)、2020年(59.6%)、2021年(61.5%)、2022年(67.5%)と、4年間で10.3ポイント上昇。学校段階があがるほど割合は高い傾向にあり、小4~6生と高校生の間には12.1ポイントの差がみられた。一方、4年間の増加幅は、学校段階が低いほど大きい傾向にあり、小学生では18.5ポイント増と学習方法の悩みが増えていることがわかった。

 学習方法の理解は「学習意欲」と正の相関があり、理解が進むと意欲も高まることがわかっている。今回の分析では、学習方法の理解は、学習意欲や成績と関連がみられ、学習意欲を示す指標や学習時間よりも、成績との相関が高い傾向にあった。ただし、「学習時間」と「成績」の関連は、小4~6生でもっとも強く、学年が低いうちは、学習習慣の定着も成績に一定の効果があることがわかった。

 「上手な勉強のしかたがわからない」の回答について同じ子供の変化を2か年にわたり追跡したところ、2021年調査「不明」・2022年調査「不明」とする「不明のまま」群が47.4%で最多。ついで「理解キープ」群が20.6%。2つをあわせた68.0%は前年から変化がなかった子供たちとなる。

 一方、理解から不明になった「不明に変化」群は19.5%、不明から理解になった「理解に変化」群は12.5%。1割強存在した「理解に変化」群は、学習方法の理解の2か年の変化と学習意欲の2か年の変化の関連をみると「意欲上昇」群が多く出現。対して、「不明に変化」群では「意欲低下」群が多くあらわれた。これらから、学習方法の理解と学習意欲は、連動して変化していることがわかる。

 さらに、学習方法の理解と成績の2か年の変化の関連をみたところ、学習方法が「理解に変化」群では成績が上がっているのに対して、「不明に変化」群では成績が低下。また、 「上手な勉強のしかたがわからない」の質問に対して、「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」と回答した「学習方法・理解」群は、論理的思考が得意で、決めたことをやり遂げる子が多く、学習方法の理解は成績だけでなく、論理的に考える力や粘り強さのような多様な資質・能力とも関連があることがわかった。

 今回の調査結果をまとめた「速報版(レポート)」は、ベネッセ教育総合研究所のWebサイトからダウンロードすることができる。

《川端珠紀》

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top