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子供関連ビジネス市場10兆7,938億円へ拡大予測…矢野経済研究所

 矢野経済研究所は2024年7月30日、子供関連ビジネス市場に関する調査結果を公表した。2023年度の市場規模は「教育サービス・学用品分野」を除く、5分野で前年度を上回り堅調に推移。2024年度は「保育関連サービス分野」などが増加で推移し、前年度比0.9%増の10兆7,938億円と予測した。

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子供関連ビジネス市場(37分野計)の市場規模推移(矢野経済研究所調べ)
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 矢野経済研究所は2024年7月30日、子供関連ビジネス市場に関する調査結果を公表した。2023年度の市場規模は「教育サービス・学用品分野」を除く、5分野で前年度を上回り堅調に推移。2024年度は「保育関連サービス分野」などが増加で推移し、前年度比0.9%増の10兆7,938億円と予測した。

 2023年度の子供関連ビジネス市場に関する調査は2024年4月~6月、子供向けに商品・サービスを提供する事業者などを対象に、矢野経済研究所が自社の専門研究員による直接面談(オンライン含む)や電話・メール取材、文献調査を併用して実施。国内の子供向け商品・サービス37分野の市場を、事業者売上高ベース(一部は興行収入ベース)で算出した。なお、対象となる子供の年齢は分野によって異なるが、0歳以上15歳以下としている。

 調査結果によると、2023年度の子供関連ビジネスの市場規模は、前年度比2.2%増の10兆6,962億円と推計される。37分野を大カテゴリー6分野別に分けたうち、「教育サービス・学用品分野」をはじめとする多くの市場分野において、物価上昇を背景に伸長率は鈍化するも、引き続き拡大。「教育サービス・学用品分野」を除く、5分野で前年度を上回る結果となった。

 市場規模の大きい3分野は、「保育関連サービス分野」「教育サービス・学用品分野」「娯楽用品・レジャー分野」。

 このうち、「保育関連サービス分野」の大半を構成する「保育園市場」は、少子化進行の影響や新規開設ペースの鈍化などによって、2020年度以降、伸長率は鈍化しているものの、少子化対策など公的資金の継続的な投入によって堅調な推移を維持。

 また「学童保育市場」は、2020年度に小学校の休校措置や在宅勤務導入の影響によって縮小に転じたものの、2021年度以降、利用する児童数の増加、民営施設の増加などによって拡大を維持している。民間学童事業者の中には、人件費をはじめとする運営費の上昇を背景に、価格改定を実施するケースも散見されたことも市場拡大の要因とみられる。

 次に「教育サービス・学用品分野」の中で、最大規模を占める「学習塾・予備校市場」は、2021年度以降、回復基調にあったが、受験対策などの学習サービスの需要停滞や通塾に対するマインドの減退が大きく影響し、伸び悩みの状況にあると推察。物価上昇によって、通塾を控える、あるいは受講科目を絞るといった動きもマイナス要因となったという。

 「子供向け習い事教室市場」は、2020年度の大幅な市場縮小から順調に回復基調にあったが、2023年度は物価上昇による家計圧迫の懸念から、節約志向の高まりや習い事の見直しなどの影響により、再び縮小。一方、「子供向けスポーツ教室・スポーツクラブ市場」は、子供の体力向上や運動機会の重要性が再認識されたことで、比較的安定した需要を維持し、増加で推移した。

 最後に「娯楽用品・レジャー分野」は、2020年度に大幅縮小した「子供・ファミリー向け劇場用映画市場」「テーマパーク・遊園地市場」「ゲームセンター・アミューズメント施設市場」「インドアプレイグラウンド市場」の4市場が2023年度も引き続き順調に回復。「娯楽用品・レジャー分野」の復調を牽引しているという。

 矢野経済研究所は、2024年度の子供関連ビジネスの市場規模は前年度比0.9%増の10兆7,938億円と予測。少子化進行・物価上昇の影響を受けつつも、共働き世帯の増加にともなう預かり保育などの需要拡大によって安定した推移が見込める「保育関連サービス分野」や、さらなる拡大が期待される「娯楽用品・レジャー分野」といった分野に支えられ前年度を上回る規模になるとみている。

《川端珠紀》

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