教育業界ニュース

【相談対応Q&A】卒業アルバム購入を任意にしてほしい

クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第123回のテーマは「卒業アルバムの購入を任意にしてほしい」。

事例 その他
画像はイメージ
  • 画像はイメージ

 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第123回のテーマは「卒業アルバムの購入を任意にしてほしい」。

卒業アルバム購入を負担に
感じる家庭も

 学校を卒業するタイミングで「卒業アルバム」が作られます。私が勤めていた関東エリアの公立小学校では、卒業生や教職員の顔写真、運動会や修学旅行等の行事、その他の生活のようす等が載せられたものを卒業時に作成していました。私の記憶では、そのアルバムの購入は任意ではなかったと思います。強制だったのかの記憶は無いのですが、すべての子供が購入をしていました。

 卒業アルバムは、思い出の記録としては良いものだと思います。ただ写真をたくさん載せ、良質の紙に印刷していること等もあり、価格が高価になってしまうという問題点もあります。私が関わっていた小学校の卒業アルバムは、1万円を超す価格でした。卒業アルバムは価格が高価であり、そういったことが負担と感じる家庭があることも事実でしょう。そういった高価なものをすべての子供(家庭)が強制(他の選択肢が無く)の形で購入をするということは他の問題が発生してきます。

 実際に北海道の小学校では、卒業アルバムの購入を任意としているところもあるそうです。ただ任意とすることで別の問題も発生してきます。卒業アルバムの注文数が少なくなってしまうと、1冊当たりの単価が高くなってきます。現在でも1万円前後もするものが、それ以上に高額になってしまうとそれも困ります。

 学校に関する購入物の中で、購入を「任意」にしても良いものもあるのだと思います。今回のテーマである「卒業アルバム」もそうですが、それ以外にも色々とあります。たとえば、「体操着」「制服」等がそういったものにあたるでしょう。

一律購入について考えるきっかけに

 学校が一律に揃える「学校指定」に意味のあった時代もありました。今よりも日本全体が豊かでなく、学校で揃えて購入することで、少し価格が安くなるケース等がありました。時代としては「昭和」の時代でしょうか。その後「平成」になり、安価で良質なものが多数販売されるようになってきました。衣服ではユニクロ等がその典型です。

 また、「皆が揃っている」ということを重視した時代もありました。教育の内容においても、服装や持ち物についても、揃っていることが重視されていました。仕事において与えられた役割を果たすことが求められ、学校においても、個性の重視ではなく、協調性が重視されていました。

 しかし、現在は個別化・多様化の時代です。先ほども触れたように服装を筆頭に良いものが安価で販売されています。学校が一律のものを求めるのではなく、それぞれの子供(家庭)がそれぞれの状況に合わせたものを選んでいくということが望ましいのだと思います。これは単に持ち物に関することだけではないと私は感じています。コロナのマスク問題がそれと関連しています。マスクを着けるのか外すのかを自分で判断できず、誰かに決めてもらいたいと判断を他の人に委ねるようなことが話題となっていました。自分自身でその時の状況を判断し、自分がどういった行動をしていくのかを決められるような人を育てていくことが学校に求められているのだと思います。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

質問をする
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

+ 続きを読む

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top