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【クレーム対応Q&A】給食がイマイチ

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第236回のテーマは「もう少し給食をきちんとしてほしい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第236回のテーマは「給食がイマイチなので、もう少し給食をきちんとしてほしい」。

物価上昇により、給食の食材価格が上昇

 最近、給食に関することが話題になることが多いです。福岡市の学校での「唐揚げが1つだけの給食」がSNSなどで話題になっていました。学校の給食に関して、子供や親が学校へ訴えてくることがあります。内容としては「量が少ない」「味がイマイチ」「冷めている」などです。以前は「給食の指導が厳しい」というものが多かったのですが、最近ではそういった訴えは少なくなっているようです。

 最初に話題にした「唐揚げが1つだけ」というものも「量が少ない」というものの1つです。この1、2年、そういったことをよく耳にします。それは、物価の上昇により、給食で用いられる食材の価格が上がったことが関連しています。給食はもともとあまり余裕の無い予算で作られています。そういった状況に加え、この1年ほどで、さまざまな食材の価格が上昇してしまいました。さらに、お米の価格も急激に上昇してしまっています。そういったことが給食のメニューにも明らかに影響を与えています。米飯給食の回数が減り、麺などの回数が増えた自治体・学校もあるようです。

 また、味や温かさに関する訴えもあります。これは自分たちの学校にある給食室で作っている給食(自校方式)と自治体にある給食センターなどで一括して作っている給食(センター方式)などによっても違いがあります。センター方式の場合、運搬に時間が掛かることもあり、冷めてしまうこともあります。そういったことが食べた時の美味しさにも影響を与える可能性もあります。

給食への理解を深めてもらう

 学校として親に対して給食に対する理解を深めてもらう取組みをしていくことは良いことでしょう。学校のホームページでその日のメニューを毎日公開している学校もあります。そういったものを見ることで親の安心感が高まる可能性があります。一般論として、知らないもの(こと)に対して人は不安感を抱きます。知ることによって不安を減らすことができます。給食も同様なのだと思います。保護者や入学前の子供は、給食に関して知らないことが不安につながっています。学校ホームページでのメニューの公開も良いですし、給食試食会などを開催していくことも良いでしょう。保護者向けの給食試食会をしている学校はありますが、入学予定者やその保護者向けの給食試食会を開催していくことも良いでしょう。入学前の時期にそういったことを開催していくことで、子供の不安を減らすことにつながるかもしれません。

 給食は子供の育ちにおいて大切なものです。家庭の養育力が高くなく、親が十分な食事を用意できないような家庭の子供においてはなおさらです。給食は子供の健全な育ちを支えているものの1つです。現在、自治体によって「給食の無償化」が進められています。財源が必要なことなので、経済的に余裕のある自治体が取り組んでいます。国家レベルで取り組んでいくことで、自治体の経済力の差による違いはなくなります。今後そういった形になっていくことが望まれます。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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