学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第235回のテーマは「教室だけでなく体育館に冷房を設置してほしい」。
冷房のある環境なら学びの質も上がる
私は大学で教えることの他に色々な研修などで学校現場を回ります。そういった際、体育館が会場となることがあります。先日、訪れた東京都中野区立の小学校の体育館は、冷房が入っている環境でした。体を動かしながらの研修だったのですが、体を動かしやすい環境で研修ができました。逆に冷房がない環境もよくあります。5月に訪れた神奈川県内の小学校では同じように会場が体育館でしたが、冷房はありませんでした。5月でしたが、良い天気の日で、話をしている私はとても暑かったです。送風機があったのですが、暖かい空気をかき混ぜてもやはり暑かったです。もちろん、聞いている人たちも暑かったことと思います。もし冷房のある環境だったらさらに学びの質も上がったのではないかと思います。
全国の公立小中学校の体育館等の空調(冷房)設備設置率は22.7%であることが、文部科学省が2025年6月23日に公表した調査結果で明らかになっています。前回調査時(2024年9月1日時点)の18.9%から3.8ポイント増加しています。この調査によると少しずつ、設置率が上がってきているのがわかります。ただ、そのペースは緩やかなものだと言うことができます。
体育館への空調設備の設置は早急に対応すべき
現在の日本の気候は全体的に暑くなっています。子供が楽しみにしているプールも気温が高すぎて実施ができないということがよく起こっています。農作物の産地が少しずつ北上しているということがニュースで話題になっていました。そういった状況では、校庭で体育の授業をしたり、子供が外で遊んだりということも難しくなってきます。運動会や体育授業の際に熱中症になって病院へ搬送されたというニュースもよく目にします。体育館の冷房が設置されていれば、そこで安全に体育授業を行ったり、休み時間に子供が遊んだりすることが可能となります。
学校の体育館は、学校教育活動以外でも活用されています。放課後には社会体育で活用している学校も多いです。地域のスポーツ団体が学校の体育館を使って、活動をしています。また、災害時の避難所としても活用しています。日本は地震が頻発する立地です。現在も東南海地震への対策をしている自治体が多いです。さらに、台風や集中豪雨などによる水害への備えも必要です。学校の体育館が避難所となることが多いです。これらを考慮すると、体育館への空調設備の設置は早急に対応すべき課題でしょう。
文部科学省では、2035年度までに公立小中学校の体育館等の空調設備の設置率を95%にする目標を掲げており、整備を後押しするべく空調設備整備臨時特例交付金を計上しています。対象となる工事費の下限400万円~上限7,000万円のうち、2分の1を補助することとなっており、補助時限は2033年度(令和15年度)までとなっています。学校や自治体の予算だけでなく、こういった交付金などを活用していくことで、設置がしやすくなります。子供の学ぶ環境が良いものになっていくと良いと思います。
本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。
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