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【相談対応Q&A】学校行事の写真をSNSにあげた保護者へ注意してほしい

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第179回のテーマは「学校行事の写真をSNSに掲載している保護者へ注意してほしい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第179回のテーマは「学校行事の写真をSNSに掲載している保護者へ注意してほしい」。

他人のプライバシーを侵害する可能性も

 タブレット/PC/スマホなどはとても便利な道具です。新型コロナウイルスをきっかけとして一気に取組みが進んだGIGAスクール構想は、そういった機器をうまく活用し、子供の学びを促進していくものです。GIGA端末は個別最適な学びと相性が良く、今後さらに推進されていくことでしょう。

 そういった新しい技術には、先ほどあげたような良い面があるのですが、残念ながら負の面があることも事実です。学校でGIGA端末を活用することや家庭でスマホなどを活用する際にトラブルが起こりえます。不適切な動画の視聴やSNSでのいじめなどがそういったものの代表的なものです。

 また、そういった問題は子供だけに限ったものではありません。保護者が関係して起こるトラブルもあります。今回のテーマである「学校行事の写真をSNSに掲載している」というものもそういったものの1つです。

 昔から運動会などの学校行事で親が自分の子供の写真や動画を撮ることは普通に行われていました。良い場所を確保するために学校の校門が開く前から並んでいる人もいました。そういったことは以前からも行われていたのですが、撮られたものは、身内での活用がほとんどでした。たとえば、応援に来ることができなかった祖父母に見せることや家族のアルバムに記録することなどです。

 そういった扱いであれば良いのですが、そうではなく、SNSなどで公開し、多くの人が見ることができる状況は問題です。もちろん、掲載するのは、自分の子供が中心なのですが、背景に他の人や学校のさまざまな情報などが写り込んでしまうことがあります。他の人のプライバシーを侵害することにもつながります。

 現在、多くの学校がホームページ(HP)の中で学校の日常のようすを日々公開しています。その日の給食や授業のようすなどを画像を付けて公開している学校が多いです。そういった取組みは学校のことを親を含めた外部の人に見てもらう良い機会です。とても良いことだと思います。その際、ほとんどの学校が子供のプライバシーへの配慮を行っています。顔が見えないようにしたり、名前が入り込まないようにしたりというものです。現在の多くの学校HPの公開のあり方は「学校のようすを伝える」という面と「子供のプライバシーに配慮する」という面をバランスを上手に取れているものだと思います。

 保護者が自分の子供の写真などをSNSに掲載することは決して悪いことではありません。ただ周りへの配慮無しであれば、トラブルにつながる可能性もあります。その辺りを学校としては、節目節目で伝えていくことが良いのでしょう。特に1年生に入学する前の入学説明会の時がポイントです。以前であればこういったことを伝える必要はなかったのかもしれませんが、現在は是非とも伝えていきたい内容です。また、年度始めの「学校便り」や「学校の約束」などの配布文書への掲載も良いでしょう。学校がアナウンスをすることで、すべてのトラブルを無くすことができるわけではないのですが、発生の確率を減らすことにつながります。

 最後に、私の知り合いの学校での保護者向けの通知を紹介します。

「○○小学校の校内での保護者の情報管理」

  1. 校舎内では携帯電話の通話をしない(電源を切る・マナーモードなどにしておく)

  2. 撮影できる行事は、入学式、卒業式、運動会、文化祭、卒業を祝う会とする

  3. 校舎内の情報を外部に出すことを禁止する(SNS等に写真や動画をあげない)

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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