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【クレーム対応Q&A】放課後のトラブルを何とかして

 保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第12回は「放課後のトラブルを何とかして」。

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 学校に寄せられるさまざまなクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第12回は「放課後のトラブルを何とかして」。

学校と家庭の役割を考える良いチャンス


 放課後に子どもが起こしたトラブルに関し、保護者から学校に連絡が入ることがあります。「遊びから帰る時間が遅い」「遊び方に問題がある」「コンビニで買い食いをする」などの内容です。「学校で指導をしてほしい」という依頼があることもあります。

 こういった連絡は、学校と家庭の役割を考える良いチャンスです。以前、記事にした登下校に関しては、基本的には家庭の責任なのですが、一部は学校の管理下なのではないかという考え方もあります。

放課後のトラブルは家庭に責任がある


 放課後の遊びに関しては、明らかに家庭に責任があると言うことができます。放課後のトラブルなどに関しては保護者が対応することとなります。放課後の遊び方などに関する連絡があった場合、教員の立場としては、一応話は聞くのですが、「対応は保護者間でお願いしたい」ということを丁寧に伝えるのが良いでしょう。

 登下校や放課後の遊びなどに関し、問題が発生し、裁判などになった場合、ほとんどの場合は家庭の責任という結論になっています。一部、明らかに学校での人間関係(いじめなど)が原因であり、そこへの対応を学校が怠っていたとされるようなケースでは、学校側の責任が問われることもあります。

 そういった中で少し難しいのが、遊びのメンバーが学校の仲間であること、放課後の遊び方のルールを学校が決めていることが多いことなどです。遊ぶ約束をするのは学校ですし、学校での人間関係がそのまま持ち込まれるという面もあります。

 近年、個人情報保護などの観点から連絡先(連絡網)を配布していないということが多くなりました。以前であれば、直接親同士で電話などを用いて連絡することができました。現在は親同士で親しい人以外は連絡先を知らないことも多く、直接関わることができないことがあります。そういったことにより、問題が学校へのクレームという形で表面化する場合があります。

 また、懇談会や保護者会で放課後の遊び方について話題にしてほしいという依頼が保護者からあることもあります。親が一度に集まる場がなかなかないので、集まった時にそういうことを話題にできたらということです。この場合、先ほども書いたように教師は放課後の遊びについては、基本的には保護者の責任となるということを伝え、親が話をすることにあまり口を挟まずに見ているというスタンスでいるのが良いのではと思います。司会もPTAの担当の人にお願いする方が良いでしょう。こういった時に注意が必要なのが、その場にはすべての親がいるわけではないということです。いない親にはなかなか内容が伝わりにくいですし、問題意識の共有もできないことが多いです。場合によっては、いない人の悪口を言うような状況(欠席裁判のような形)になってしまうこともあります。

学校と家庭の役割分担を明確に


 これまで学校は子どもに関する多くのことに対応してきました。本来は家庭で取り組むべき内容に関しても学校が関与していることもありました。たとえば、今回例に出した放課後の遊び方のルールなどです。学校によっては、「自転車に乗って良いのは○年生から」のようなルールを定めています。保護者としても学校に決めてもらった方が楽な面があります。ただ学校が持続的に質の良い学びや育ちを提供していくためには、学校と家庭でのきちんとした役割分担が必要なのだと思います。一気にすべてのものは変わりませんが、少しずつでも変えていくことが大事なのだと思います。
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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