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【クレーム対応Q&A】給食エプロンの洗濯に疑問

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第143回のテーマは「給食エプロンの洗濯に疑問」。

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 学校に寄せられるさまざまなクレームや相談。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第143回のテーマは「給食エプロンの洗濯に疑問」。

衛生面や匂いなどが問題に

 学校では給食の準備の際にエプロン(給食着)を使用します。そのエプロンの扱いで問題が起こることがあります。衛生面や洗剤・柔軟剤の匂いなどの問題です。一般的に学校の給食のエプロンは、学校の所有物を給食当番の時だけ使用し、週末に家庭で洗濯し、月曜日に戻すという仕組みのところが多いです。

 衛生面の問題は、洗い忘れることや洗い方が十分でなく、不衛生な状態のものを次の人が使ってしまうケースなどです。洗剤や柔軟剤の匂いの問題は、匂いの強い洗剤や柔軟剤を使うことで、独特の匂いがエプロンに残ってしまう問題です。それぞれの家庭で使用している洗剤や柔軟剤が原因となるものです。家庭によっては輸入品などの非常に匂いの強いものを使っている場合があります。そういったものにより一部の子供に健康被害が出てしまうことがあります。また、コロナ禍を経て、身に着けるものなどを共用することに不安を抱くケースもありました。

状況に応じて、適切な形に変えていく

 文科省は「食に関する指導の手引」というものを出しています。その中には「給食の配食を行う児童生徒等は、清潔な白衣やマスクの着用など衛生的な服装で食器及び食品を扱うように指導する」とあります。エプロン(給食着)の形状や取り扱い方についての記載はありません

 こういった状況において、給食のエプロンの共用をやめる自治体や学校が出てきています。たとえば、愛知県豊橋市では、2022年6月に給食当番服の共用の廃止を決定し、現在は個人所有の形を取っています。

 個人所有に関してもいくつかの問題があります。上履きなどと同様、子供の成長に合わせて、買い替えの必要が出てきます。小学校の低学年の子供が大きいものを着るようなことがあると、安全面などでの不安もあります。家庭に経済的負担を強いることになります。

 違ったやり方としては、公費で購入し、1年間個人で保管するという方法です。通常の1週間で交換するやり方と個人所有するやり方を合わせたようなやり方です。匂いの問題などが完全になくなる訳ではないですが、問題を限りなく少なくすることになります。

 また、給食の準備の際に着用する服装(給食着、白衣、エプロンなど)を指定のものではなく、市販のエプロンなどにするというやり方もあります。学校で使用するものを揃えた方が教師は指導しやすいという面があります。ただ、機能的に満たしているのであれば、皆が同じものを使用する必要もないでしょう。多くの学校では体操着が指定されていますが、そうではない学校もあります。「運動に適する服」であれば、本来、問題はないはずです。給食の準備の際の服装に関しても、同様に考えれば、各自が適切なエプロンなどを準備することでも構わないはずです。

 学校は変化を好まない組織です。それまで取り組んできた(行なってきた)ことを変えることなく続けていく傾向にあります。今回話題にした給食準備時の服装や体操着についても、状況に応じて、適切な形に変えていくということは必要でしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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