文部科学省は2025年6月27日、全国の教育委員会などに対し、高等学校入学者選抜等における配慮事項等について通知を出した。追検査や調査書のみによる選考の実施、感染症対策、定員未充足の場合の対応など、7つの項目でまとめている。
通知「高等学校入学者選抜等における配慮等について」は、同省が高等学校入学者選抜等において配慮を必要とする事項を大きく7項目に分けてまとめもので、教育委員会や学校に適切に対応を要請している。
「さまざまな事情を有する入学志願者に対する適切な受検機会の確保」では、追検査や調査書のみによる選考の実施などの柔軟な対応のほか、特色ある学科・コースの受検機会確保に特段の配慮を依頼。「受検生の安全確保および感染症対策等の徹底」では、痴漢対策強化として事前の警察への相談など、試験会場等の警備体制の確認や危機対応マニュアルなどの周知徹底を求めている。
「調査書の活用等における留意事項」では、調査書に欠席日数欄を設ける場合は、欠席の理由を記載できる欄や入学志願者が自ら欠席の理由について申告できる機会を設けたりするとともに、本人に帰責されない理由による欠席と認められる場合は、合理的な理由なく不利に取り扱うことがないよう配慮を要請した。具体的には、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状と考えられる症状や月経随伴症状なども含むとしている。
「公立高等学校の入学者選抜における志願者数が定員に満たない場合の対応等」では、定員内でありながら不合格を出す場合には、各教育委員会や各校長の責任において、受検生に対し、その理由が丁寧に説明されることが適切と強調。定員内不合格を出さないよう取り扱っている例を含め、ほかの教育委員会の事例も参照するなどし、合理的な説明となっているかあらためて検討を求めた。
「通信制高等学校における入学者選抜の日程」は、適切な時期の実施を依頼。「日本人学校等の在校歴がある入学志願者に係る配慮事項」では、授業日数の多寡により不利益を被ることがないように配慮することなどを要請した。
そのほか、試験会場内の適切な巡視を行うことなど公平・公正な実施や、障害のある生徒に対する適切な配慮、帰国・外国人生徒を対象とした特別定員枠では、試験教科の軽減、問題文の漢字へのルビ振りなどの配慮を求めている。
なお、高等学校入学者選抜に係る課題などについては、今後、各教育委員会と共有・検討予定としている。