システックITソリューションは、中学校・高等学校で進路指導を担当する教員を対象に「教員が感じる進路指導の課題とデジタル活用の可能性」に関する調査を実施し、2026年5月12日に結果を公表した。進路指導の最大の課題は「生徒ひとりひとりに向き合う時間の確保」で、約8割の教員が校務支援システムの活用による指導の質向上と業務負担の軽減に期待していることがわかった。
進路選択の多様化が進む中、生徒ひとりひとりに寄り添った進路指導の重要性が高まっている。しかし、教育現場では情報整理やデータ分析に十分な時間を割けないなどの課題も多い。今回の調査は進路指導における生徒データの活用状況や、デジタル活用に関する課題と可能性を明らかにすることを目的に実施。中学校・高等学校で進路指導を担当している教員1,005人を対象に2026年2月4日~6日の期間、PRIZMAによるインターネット調査で行われた。
はじめに、現在の進路指導における生徒の学習データや行動データの活用度について尋ねたところ、「非常に活用できている」(26.4%)と「ある程度活用できている」(56.5%)をあわせ、約8割が活用できていると回答した。一方で、「非常に活用できている」との回答は26.4%にとどまり、多くの教員が十分とはいえないと感じているようすがうかがえた。
活用しているデータの内訳は、「生徒の進路希望」(62.9%)がもっとも多く、ついで「学習成績(定期試験・校内模試)」(58.1%)、「出席状況や生活記録」(52.2%)と、基礎的なデータが上位を占めた。
校務支援システムを活用し、生徒のデータに基づいた進路指導を行う体制については、約8割が「非常に整っている」(21.2%)または「ある程度整っている」(54.9%)と回答。校務支援システムの導入が標準化しつつある現状が示された。しかし、実際に活用している機能は「成績管理機能」(56.3%)、「通知表や指導要録の作成」(55.8%)、「出欠管理機能」(49.5%)など、事務処理の効率化に関するものが中心だった。「進路指導に関する情報管理」は約4割にとどまり、戦略的なデータ活用ツールとしては十分に生かされていない現状が明らかになった。
進路指導の質を向上させるために不足している要素を尋ねたところ、もっとも多かったのは「生徒ひとりひとりに向き合う時間の確保」(47.6%)だった。ついで「データ分析に基づく個別指導ノウハウ」(35.4%)、「最新の進路情報の収集・提供体制」(33.6%)となり、時間だけでなくスキルや情報基盤の不足も課題となっていることがわかった。
データ活用を進めるうえでの具体的な課題としては、「データ活用に時間を割くリソース(人員・時間)がない」(37.6%)が最多で、次点は「データ分析のスキルやノウハウが不足している」(30.2%)、「教員間でデータを共有する仕組みがない」(28.1%)だった。多忙な業務の中でデータ分析に取り組む余裕がなく、個人のスキルアップだけでなく、組織全体での環境整備が求められているといえる。
校務支援システムに期待する機能については、「生徒の学習履歴・成績データの一元管理」(37.7%)がもっとも多く、「過去の進路実績データとの比較分析」(35.1%)、「生徒の行動特性・興味関心データの分析」(29.7%)が続いた。点在する情報を集約し、客観的な判断材料を提供する機能へのニーズが高いことがわかる。
校務支援システムが進路指導に必要なデータを収集・分析できるようになった場合、現在の進路指導の質がどの程度改善されると思うかという問いには、約8割が「非常に改善されると思う」(19.5%)または「ある程度改善されると思う」(64.6%)と回答。また、生徒ひとりひとりに個別最適化された指導ができれば、学校の魅力向上に貢献すると考える教員も約8割にのぼった(「非常に貢献すると思う」21.0%、「やや貢献すると思う」57.6%)。
最後に、校務支援システムの活用による業務負担の軽減について尋ねると、約8割が「大幅に軽減されると思う」(22.9%)または「やや軽減されると思う」(53.5%)と回答した。システム活用により事務作業を効率化し、課題であった「生徒と向き合う時間」を確保することへの期待がうかがえる。
今回の調査から、多くの教育現場で生徒データの活用が進む一方、時間の不足やスキル、情報基盤の課題により、その活用は事務処理の効率化にとどまっている実態が明らかになった。教員たちは校務支援システムに対し、単なる事務ツールとしてだけでなく、データの一元管理や分析を通じて進路指導の質を高め、生徒と向き合う時間を創出する戦略的なツールとしての役割を期待している。












