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「自腹経験あり」100%、先生たちの自腹のホンネ【アンケート結果】

 リシードでは、教員の皆様を対象に、業務における「自腹」についてのアンケートを実施した。この記事では、アンケートの集計結果と先生方の声を紹介する。

教育行政 その他
これまでに仕事で自腹を切った経験はありますか?
  • これまでに仕事で自腹を切った経験はありますか?
  • 仕事で自腹を切ったのはどんな費用ですか?
  • 自腹を切ることは「あり」「なし」のどちらだと思いますか?
  • 自腹を切る頻度はどのくらいですか?
  • 自腹の金額は年間いくらくらいですか?
  • 1回の自腹の平均額はいくらくらいですか?

 新年度が始まり、学級や授業など、さまざまな準備に追われる先生も多いことだろう。リシードは2025年3月4日~17日の期間、教員を対象とした「先生の自腹」に関するアンケートを実施した。有効回答数は103件。他の先生にはなかなか聞けない、自腹事情。アンケート結果を公表する。

 また、4月のリシード連載「先生の事情とホンネ」も「先生の自腹」がテーマ。教師歴23年の小学校教諭、松下隼司氏が自身の自腹事情を紹介する。


ほかの先生はどうしてる? 気になる「先生の自腹」について【アンケート結果】

自腹率は100%、すべての先生が自腹の経験あり

 リシードが実施したアンケートによると、「業務で自腹を切った経験がある」先生は100%。すべての先生が、業務における“自腹”を経験していた。自腹を切った費目は、「仕事のみで使う文房具」92.2%が最多。ついで、「教職員での懇親会」81.6%、「仕事のみで使うPC周辺機器(マウス・タッチペンなど)」68.9%、「先生ご自身の給食」62.1%、「授業や校務、部活動に必要な資格の取得費・更新費」60.2%などであった。

 上記の項目について、自腹を切ることの「あり」「なし」を項目別に聞いたところ以下のとおりであった。

一部抜粋

月2回以上の自腹が約4割

 自腹を切る頻度は、「年に7~12回程度」27.2%、「年に4~6回程度」「それ以上」が同率で各24.3%、「月に2回程度」13.6%の順に多かった。一方で、「年に2~3回程度」8.7%、「年に1回程度」1.9%と頻度が少なめの回答は少数であった。「月に2回程度」と「それ以上」を合わせると37.9%にのぼり、約4割の先生が月に2回以上自腹を切っている。

 年間の自腹金額は、「5,000円以上、1万円未満」「3万円以上、5万円未満」が各20.4%の同率でもっとも多く、「1万円以上、3万円未満」「5万円以上、10万円未満」が各18.4%と次に多い。「3万円以上、5万円未満」「5万円以上、10万円未満」「それ以上」を合わせると52.4%。半数以上の先生が年間で3万円以上の自腹を切っていることがわかった。

 1回あたりの自腹の平均額は、最多が「1,000円以上、5,000円未満」が53.4%。「1,000円未満」「5,000円以上、1万円未満」が同率で各20.4%、「1万円以上、3万円未満」5.8%という結果だった。

 これまでの最高自腹額を聞いたところ、「部活動の用具」100万円や、「海外への教育視察」70万円といった高額な例や、パソコンや電子黒板、プロジェクターなどを自腹で購入したという回答があった。自腹を切らなければいけなかった理由について、「公費では認められない」「請求先がない」「手続きが煩雑」「時間がかかる」といった理由が多かった。また、「給食費は子供たちが無償になっても、教員は自腹」といった声もあがっている。

 自腹で購入して「失敗した・後悔した」と思うものを聞いた質問では、「教材:生徒のために買ったが、使いにくく、理解につながらなかった」や、「電子黒板:購入後に全クラスに整備された。自腹を切るのが早すぎた」という声があった。また、自腹で購入したもの「すべて」を後悔していると回答した先生からは、「子供のためにと思って自腹を切ってきたが、自治体は先生が自腹を切ることに頼って予算組みをしてきた。これまで私たちがやってきたことは、次の世代への悪いレガシーになってしまったと反省している」という意見もあった。

 自腹を切ることについて、「仕事で使用するものは、仕事先が用意するものであると思う。部活動も仕事の一部だと思う」「部活であっても所属長からの指示である限り、その活動にかかる費用は全て学校が負担すべき」など、部活動を含めて学校で使うものについては予算で賄うべきという意見が多数を占めた。また、「お金も、所有物も、時間もすべて差し出さないといけないのが教員。なり手がないのは当然だと思う」という意見もあがっていた。

【アンケート概要】
・実施期間:2025年3月4日~17日
・有効回答数:103件

【回答者の属性】
〇勤務校
 ・小学校:51.5%
 ・中学校:27.2%
 ・高等学校:16.5%
 ・その他(専修学校など):4.9%

〇学校種別
 ・公立校:91.3%
 ・私立校:8.7%

〇年齢
 ・20代:3.9%
 ・30代:17.5%
 ・40代:30.1%
 ・50代:32.0%
 ・60代以上:16.5%

《編集部》

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