全国的に働き方改革が叫ばれている中、教育現場も例外ではない。文部科学省は、教員の勤務時間削減や業務の適正化を目指して教育現場における働き方改革を進めている。実際に、ICTによる業務効率化や、長期休業中に閉庁日を設けるなど、自治体や学校でもさまざまな取組みが行われている。
教員の日々の業務における「休憩事情」はどのようになっているのか? リシードは2025年5月2日から18日までの期間、教員を対象としたアンケートを実施した。有効回答数は109件。
回答者の属性
【勤務している学校】
・小学校 62.4%
・中学校 23.9%
・高等学校 11.0%
・その他 2.8%
【勤務校の学校種別】
・公立 95.4%
・私立 4.6%
【年齢】
・20代 6.4%
・30代 23.9%
・40代 32.1%
・50代 30.3%
・60代以上 7.3%
【役職】
・校長 3.7%
・副校長、教頭 2.8%
・教員 92.7%
・その他 0.9%
アンケート回答者の教員歴は、以下のとおり。

毎日、休憩時間を取れているかを聞いた質問では、最多が「まったく取れていない」71%、「あまり取れていない」24%が続いており、合わせて95%の教員が休憩時間を取れていないことが明らかになった。一方で、「取れている」と回答したのは4%、「だいたい取れている」は2%という結果だった。
また、今回のアンケート回答者のうち「校長」と「教頭・副校長」(計6.5%)は、全員が「まったく取れていない」もしくは「あまり取れていない」と回答している。

労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は45分間以上(8時間を超える場合は1時間以上)の休憩を与えることが定められている。45分間の休憩時間のうち、どのくらいの時間、休憩できているかを聞くと、「まったく取れていない」61%がもっとも多く、「5分間」12%、「20分間」11%、「10分間」10%、「45分間」3%、「30分間」「3分間」各2%と続いた。

同じ職場で働くほかの教員の休憩状況を聞いたところ、「まったく取れていない」50%、「あまり取れていない」46%、「だいたい取れている」3%、「取れている」1%という結果であった。

休憩に充てている時間を聞くと、「放課後(会議や研修が重なっていない)」21%、「昼休み」15%、「授業の合間の休み時間」11%などが多かったが、もっとも多かったのは「休憩は取れていない」60%だった。

いつ休憩時間が設定されているか、保護者は知っているか? また、休憩時間について保護者が知る必要があるかを聞いてみると、「保護者は知らないが、知る必要があると思う」82%がもっとも多かった。また、子供たちについても同様の質問をしたところ「子供たちは知らないが、知る必要があると思う」58%が最多であった。


勤務時間中に休憩時間を取れないことは違法となる。これについて、91%が「知っている」、9%が「知らなかった」と回答している。

全国の教員が毎日45分間の休憩を取れるようにするために必要なことを聞くと、「教員の数を増やす」83%がもっとも多く、休憩においても教員不足の影響がうかがえる。その他、「校務の効率化」65%、「1クラスあたりの子供の人数を20人までにする」61%、「会議を減らす」53%、「授業時間の削減」52%、「個別最適化教育、STEAM教育、インクルーシブ教育など、増え続ける〇〇教育を減らす」50%など。

業務内容・業務量が改善され、全国の先生が毎日休憩時間をきちんと取れるようになるのは何年後かという質問には、「無理だと思う」69%がもっとも多い。ついで「10年後」21%、「3年後」5%、「5年後」「20年後」各3%。教員の多くが、毎日休憩を取れる環境が実現することは無理だと思っていることが明らかになった。

リシードの連載「先生の事情とホンネ」では、現役小学校教諭の松下隼司氏が、勤務時間内での休憩について語っている。