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GIGAスクール構想下の校務DX…実現に向けたロードマップ

 文部科学省は2023年3月8日、資料「GIGAスクール構想の下での校務DXについて~教職員の働きやすさと教育活動の一層の高度化を目指して~」を公表した。次世代の校務DXの方向性を示すとともに、各自治体で実現するためのロードマップ等を示している。

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GIGAスクール構想の下での校務DXについて~教職員の働きやすさと教育活動の一層の高度化を目指して~
  • GIGAスクール構想の下での校務DXについて~教職員の働きやすさと教育活動の一層の高度化を目指して~
  • アクセス制御を前提としたネットワークにおける情報セキュリティの考え方
  • いわゆるゼロトラストセキュリティに関する要素技術
  • アクセス制御を前提としたネットワークにおける情報セキュリティの確保(イメージ)
  • 次世代の校務DXを支えるICT環境イメージ
  • 次世代の校務DXに向けたロードマップ

 文部科学省は2023年3月8日、資料「GIGAスクール構想の下での校務DXについて~教職員の働きやすさと教育活動の一層の高度化を目指して~」を公表した。次世代の校務DXの方向性を示すとともに、各自治体で実現するためのロードマップ等を示している。

 文部科学省は、令和の日本型学校教育を支える基盤としての校務DX(次世代の校務DX)のあり方等について現状と課題を整理し、紙ベースの校務を単にデジタルに置き換えるのではなく、クラウド環境を活用した業務フロー自体の見直しや外部連携の促進、新たな学習指導等の高度化を図るための方向性を示すことを目的に、「GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議」を設置。2021年12月の第1回を皮切りに、2022年度を通して検討を重ねてきた。

 今回、専門家会議の報告資料として「GIGAスクール構想の下での校務DXについて~教職員の働きやすさと教育活動の一層の高度化を目指して~」を発表。30ページ以上にわたり、現在の校務情報化の課題や次世代の校務DXの方向性、今後取り組むべき施策を示している。

 現状の課題としては、多くの教育委員会が校務支援システムを自前サーバ(オンプレミス)に構築し、職員室に固定された端末からのアクセスを前提にしているため働き方の選択肢が少ないこと、教育委員会ごとにシステムが大きく異なるため人事異動の際の負担が大きいこと、校務システムの導入コストが高く小規模自治体での導入が進んでいないこと、学習系データと校務系データの連携が困難なこと等、10項目をピックアップ。

 こうした課題を踏まえ、次世代の校務DXについては、汎用のクラウドツールの積極的な活用による負担軽減とコミュニケーションの迅速・活性化を図り、ロケーションフリーで校務系・学習系システムへ接続可能な環境を整備する「働き方改革の観点」と、「データ連携の観点」「レジリエンスの観点」の3つの観点をすべての自治体で実現する必要があると提言。それぞれ実現に向けた具体的なポイント等をまとめている。

 また、今後取り組むべき施策として、文部科学省と先進的自治体、民間企業の連携による次世代の校務DXのモデルケースの創出や、ガイドライン的文書の策定、財政支援のあり方等を提示。財政支援については、2018~2022年度に講じられた地方財政措置「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」(単年度1,805億円)の2年間延長が決定したことを受け、こうした地方財政措置を十分に活用するよう周知している。

 文部科学省が各自治体を対象に行った、統合型校務支援システムの導入・更改予定時期の調査によると、2025年度が17.5%、2026年度が17.6%、2027年度が11.9%、2028年度20.9%、2029年度が19.4%、導入予定なし等が12.7%。従来の校務支援システムの導入・更改にあたっては2年程度の準備期間が必要となることから、例として2025年度、2026年度にシステムの導入・更改する予定の自治体における、次世代の校務DXに向けた環境整備を行うスケジュールを具体的に示し、実現に向けたロードマップとしている。

《畑山望》

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