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注目のデジタル・シティズンシップ教育って?授業で役立つ無料教材を紹介

 デジタルを自律的に利活用して多様な社会活動に参画し、よりよいデジタル社会を形成するための「デジタル・シティズンシップ」を育む教育が求められている。この記事では、無料で利用できるデジタル・シティズンシップ教育に関する教材も紹介する。

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 GIGAスクール構想により教育現場における「1人1台端末」環境が実現した。児童・生徒に対する従来の「情報モラル」教育は、インターネットの長時間利用やSNSへの書込み等、インターネットの危険性を教え、使用を抑制する他律的なものが多かった。しかし今後は、デジタルを自律的に利活用してさまざまな相手とコミュニケーションを行い、多様な社会活動に参画し、よりよいデジタル社会を形成するための「デジタル・シティズンシップ」を育む教育が求められている。

デジタル・シティズンシップとは? なぜ今必要なのか?

 総務省が公表した「2030年頃を見据えた情報通信政策の在り方」答申(案)によるとデジタル・シティズンシップは、次のように定義されている。

デジタル技術の利用を通じて、社会に積極的に関与し、参加する能力を指すものであり、コンテンツの作成や公開、他者との交流、学習、研究、ゲーム等のあらゆるデジタル関連の活動を行う能力に加え、オンライン消費者意識、オンライン情報とその情報源の批判的評価、インターネットのプライバシーとセキュリティの問題に関する知識など幅広いリテラシーを含む概念であり、具体的には『ネットいじめ』や『ヘイトスピーチ』への対応やオンラインニュースとどう付き合うべきかといった身近な内容を含むものである」

 コロナ禍で前倒しして実施されたGIGAスクール構想は端末の整備が完了し、それを活用する段階に入った。幼いころからスマートフォンやタブレット等のデジタル機器に慣れ親しんできたデジタルネイティブと呼ばれる児童・生徒にとってデジタル機器の使用はこれまで以上に日常化し、端末を自宅に持ち帰って学習する機会も増えてきている。

 教育のデジタル化が目指す「誰もが、いつでもどこからでも、誰とでも、自分らしく学べる社会」を実現するためには、従来の情報モラル教育で行われてきた端末の使用を制限することで安全を確保するような他律的ルールではカバーしきれない。児童・生徒が自ら判断してデジタル社会を安全に行動できる能力を育成するデジタル・シティズンシップ教育が求められている。

 GIGAスクール端末を効果的に活用してより良い学習を実現するため、また、デジタル社会を生きるうえで必要なスキルを身に付けるためにも、自分たちの意思で自律的にデジタル社会と関わっていくデジタル・シティズンシップ教育は注目されている。

デジタル・シティズンシップ教育に対する省庁の動向

 総務省は2022年10月28日、「ICT活用のためのリテラシー向上に関する検討会」を11月4日以降順次開催することを発表した。検討会では、デジタル・シティズンシップの考え方を踏まえつつ、これからのデジタル社会において求められるリテラシーの在り方や当該リテラシーを向上するための推進方策について検討するという。

 文部科学省や経済産業省、内閣府もこれまで、デジタル・シティズンシップ教育についてさまざまな場面で言及してきた。経済産業省は「未来の教室」が運営するオンライン図書館「STEAMライブラリー」で、デジタル・シティズンシップを学べる教材を公開している。

 GIGAスクール端末が多くの児童・生徒に活用される中で、デジタル・シティズンシップ教育の必要性を感じている先生も少なくないだろう。リシードでもデジタル・シティズンシップ教育に注目し、これまでもイベントやサービスを紹介してきた。ここからは、無料で利用できるデジタル・シティズンシップ教育に関する教材を3つ紹介する。

無料で利用できるデジタル・シティズンシップ教育教材

「GIGAスクール時代のテクノロジーとメディア~デジタル・シティズンシップから考える創造活動と学びの社会化」(提供:経済産業省/STEAM Library)

 子供たちと教員・保護者、そして社会全体で取り組むテーマとして、「デジタル・シティズンシップ」について考えていくことが教材の狙い。デジタル・シティズンシップの理念と実践をもとに、発達段階にあわせて設計されている。教材は対象学齢に応じてレクチャーを選ぶことができ、「小学校低学年」「小学校中~高学年」「中学生・高校生」に分かれている。

 さらに教員・保護者向けの教材解説動画も用意されており、デジタル・シティズンシップについて子供たちと一緒に学ぶことができる。保護者会や勉強会等での活用もお勧めだという。

「GIGAスクール時代のテクノロジーとメディア~デジタル・シティズンシップから考える創造活動と学びの社会化」はこちら

「Be Internet Awesome.」日本版(提供:Google)

 Googleが提供する「Be Internet Awesome.(かしこくインターネットを使える人になろう)」は、Google、The Net Safety Collaborative、Internet Keep Safe Coalitionが共同で作成したカリキュラム。安全なデジタル利用の基本を目的としている。

 おもな対象は小学2年生~6年生だが、他学年の児童・生徒も活用できる。「重要な用語」「クラスでの話合い」「ゲーム」等、授業で役立つコンテンツを紹介。カリキュラムの補足として、そのまま指導に利用できるPear Deckスライド、印刷できるアクティビティ、家庭向けのガイドとヒント等、教員と家族に向けた追加リソースも用意されている。

「Be Internet Awesome.」はこちら

「デジタルシティズンシップ教材(日本語字幕版)」(提供:GLOCOM 豊福晋平氏)

 CCライセンスに基づき、アメリカのデジタル・シティズンシップ教材「コモンセンスエデュケーション(Common Sense Education)」の動画に日本語字幕を付けて公開している。おもな対象は幼稚園~12年生。インターネットの安全な利用について、メディアバランス、ネットいじめ等、テーマは多岐にわたる。

「デジタルシティズンシップ教材(日本語字幕版)」プレイリストはこちら



《外岡紘代》

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