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成績上位層ほど数学アプリ活用…5か国の中2計算力調査

 スプリックス教育財団は2026年3月26日、世界5か国の中学2年生を対象に教育アプリの利用と計算能力の関係を分析した調査の結果を公表した。デジタル学習が個人の習熟度に応じた環境を提供し、学力形成を支える重要な役割を担いつつあることが明らかになった。

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成績上位層において「数学の演習用アプリ」の高い活用率
  • 成績上位層において「数学の演習用アプリ」の高い活用率
  • アプリ学習は「オンライン学習」「数学の演習」「解答チェック」が主流
  • 教育アプリ利用に関する自由回答の集計結果(国別上位3件)

 スプリックス教育財団は2026年3月26日、世界5か国の中学2年生を対象に教育アプリの利用と計算能力の関係を分析した調査の結果を公表した。デジタル学習が個人の習熟度に応じた環境を提供し、学力形成を支える重要な役割を担いつつあることが明らかになった。

 世界的にEdTechの導入が進む中、日本では「デジタルツールの活用は本当に学力向上に寄与しているのか」という疑問が根強い。一方で海外のプラットフォームについては言語の壁もあり、国内の調査だけでは十分に把握できない現状がある。

 今回の調査「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」は、アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国の5か国における中学2年生を対象に実施。各国150名の有効回答をもとに、教育アプリの利用実態や計算力との関連性を分析した。調査時期は2025年4月~6月。

 分析の結果、計算テストの成績上位層(上位25%)は、下位層(下位25%)に比べて数学の演習用アプリをより積極的に活用していることが明らかになった。

 この傾向は、南アフリカを除く4か国(アメリカ、イギリス、フランス、中国)で共通して見られた。特にイギリスでは、勉強記録・管理アプリやオンライン学習の利用者に成績上位者が多く、オンラインプラットフォームの活用が学習成果に影響を与えている可能性が示された。またフランスでは成績下位層で数学演習アプリの未使用率が顕著に高いことが明らかになった。なお、調査で使用された計算テストは、国際基礎学力検定「TOFAS(トファス)」の計算分野に準じている。

 教育アプリでの学習定着度は、中国や南アフリカで9割を超えた。一方、フランスは約7割にとどまり、5か国の中でもっとも利用頻度が低かった。

 実際に利用されている教育アプリは国ごとに異なるが、中国を除く4か国では外国語学習アプリ「Duolingo」の人気が高かった(アメリカ・イギリス・フランスは1位、南アフリカは3位)。また、アダプティブ・ラーニング(習熟度別学習)を特徴とする「Khan Academy」も、アメリカ2位、イギリス3位、南アフリカ1位と幅広く利用されている。

 一方、地域特有のツールとして、イギリスでは学校の宿題として指定されることが多い「BBC Bitesize」、フランスでは公立中高の9割が導入する学校生活管理アプリ「PRONOTE」が、公教育のインフラとして定着していた。

 中国では2021年の学習塾規制を受け、教育サービスのビジネスモデルが大きく変化。「学而思(Xueersi)」などでは最新AIモデル「DeepSeek-R1」を導入し、解けない問題に対して段階的にヒントを提示する「深思考(Deep Thinking)モード」を搭載するなど、思考プロセスの支援へと進化している。

 今回の調査では、多くの国で成績上位層ほど数学の演習アプリを積極的に活用している傾向が確認された。ただし、背景にある家庭の経済状況が教育格差(教育アプリの利用率)に影響している可能性も指摘されており、今後も慎重に分析する必要があるとしている。

《川端珠紀》

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