東京都教育委員会は2025年10月1日、デジタルの力で教員の働き方改革を加速するため、全国最大規模の「次世代校務DXプロジェクト」を始動すると発表した。公立小中学校等の情報を管理する統合型校務支援システムを都内全区市町村で共通化し、2028年度以降順次、導入する。
現在、区市町村ごとに導入されている統合型校務支援システムは、教員が自治体をまたぐ人事異動のたびにシステムが変わり、習熟に時間をかける必要があるため、学校現場から「子供たちと向きあう時間が十分に作れない」という声が上がっていた。
そこで東京都教育委員会は、都内公立小学校・中学校・義務教育学校の統合型校務支援システムの共通化について、都内全区市町村と協議を重ね、10月1日に「次世代校務DX環境の共通化方針」を策定した。統合型校務支援システムの「教務管理(成績処理、出欠管理、時数管理等)」「保健管理(健康診断票、保健室来室管理等)」「学籍管理(入学・転入・卒業履歴管理、指導要録等)」に加え、周辺システムの「教育ダッシュボード」「出退勤管理システム」、デジタルツールである「保護者連絡」「採点分析」なども共通化を目指す。
システム共通化は、全国最大規模となり、都内公立小中学校等の児童・生徒約83万人の情報が管理され、教員約5万人が使用することになる。東京都教育委員会では、システムの共通化により、教員の業務が効率化し、教員が子供と向きあう時間を確保できるとともに、学習成果などのデータを活用したきめ細かな指導・支援が可能になるとしている。
このほか、都内全区市町村で共通の強固なセキュリティ基準を策定することで、情報漏洩などのセキュリティリスクが低減し、より安全・安心な業務環境を実現。スケールメリットを生かした共同調達により、各自治体の調達費用負担を軽減。校務系クラウドツールや学習系ツールなど、ニーズの高い周辺ツールの共同調達を早期に開始することで、教員の業務効率化などが期待できるという。
今後は、2026年度にシステムの仕様を検討し、2027年度にシステムを構築。2028年度以降順次、都内で共通化された統合型校務支援システムを区市町村が導入する予定。統合型校務支援システム以外にもダッシュボードや出退勤管理システムの整備にも取り組む。
学校と保護者の間でアプリやWebを通じて連絡・情報共有できる「保護者連絡ツール」、紙のテスト答案をスキャンしてパソコン上で自動採点する「デジタル採点ツール」などのデジタルツールについては、区市町村に2026年度から導入を推進する。
東京都教育委員会は、共通化方針をもとに取組みを加速させ、教員の働き方改革を一層推進していくとしている。