文部科学省は2024年8月29日、「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について」と題した通知を全国の教育委員会などに発出した。同日に公布・施行した法令改正により、義務教育段階の不登校児童生徒が学校外で学習した成果を成績評価に反映できると規定しており、周知を求めている。
義務教育段階の不登校児童生徒数は10年連続で増え、2021年度と2022年度には2年連続で20万人を超えて過去最多を更新した。一方、自宅などでの学習活動を指導要録上出席扱いされる児童生徒も増加傾向にあるという。
文部科学省では、教育支援センターなどの公的機関やフリースクールなどの民間施設、自宅などで懸命に学習を続ける不登校児童生徒の努力を学校として積極的に評価していくことが重要だとして、2019年発出の通知において、不登校児童生徒の欠席中の学習成果に対して学習評価を適切に実施する意義などを周知してきた。
8月29日には、不登校児童生徒の努力の成果の適切な評価を促進するため、学校教育法施行規則の一部を改正する省令と、不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を成績に反映する場合を定める告示を公布。同日付で施行した。今回、改正の趣旨や概要、留意すべき事項について、都道府県・指定都市教育委員会、附属学校を置く国公立大学法人、私立学校を所管する都道府県などに通知。学校などに対して周知するよう求めている。
法令改正の対象となるのは、小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校前期課程、特別支援学校小学部・中学部に在籍する不登校児童生徒の成績評価。「学習の計画・内容が、不登校児童生徒の在学する学校の教育課程に照らし適切と認められる」など、文部科学大臣が定める要件のもとで、不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を考慮できることを法令上に明確化した。
学習成果を成績に反映する取組例には、「1人1台端末を活用して、教育支援センター等から学校の授業にオンラインで参加」「学校から届いたプリントや教材等を活用して学習」「フリースクールに対して、定期的に不登校児童生徒の状況をまとめた報告書を学校に提出するように依頼し、学校とフリースクールが直接連絡を取れる体制を整備したうえで、フリースクールで学校の課題や定期テスト等の適切な教材に取り組んでいる」「民間のeラーニング教材を活用して学習を行っている不登校児童生徒について、教育支援センターの職員が保護者と連携しつつ、学習状況等を把握し、学校に情報共有する」の4例をあげている。