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COREハイスクール・ネットワーク構想、13事業の取組みを紹介

 文部科学省は2024年6月17日、COREハイスクール・ネットワーク構想事業の成果を公表した。2023年度は北海道、愛知県、宮崎県など全国13の教育委員会が、離島・中山間地域の高校生へ向け、学校間連携・協働ネットワークの構築により多様な進路実現に向けた教育を実現している。

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北海道高等学校遠隔授業ネットワーク
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 文部科学省は2024年6月17日、COREハイスクール・ネットワーク構想事業の成果を公表した。2023年度は北海道、愛知県、宮崎県など全国13の教育委員会が、離島・中山間地域の高校生へ向け、学校間連携・協働ネットワークの構築により多様な進路実現に向けた教育を実現している。

 COREハイスクール・ネットワーク構想は、中山間地域や離島などに立地する小規模高校における教育環境改善のためのネットワーク構築事業。ICTも活用した同時双方向型の遠隔授業や、地元自治体などの関係機関と連携体制を構築し、持続的な地方創生の核としての機能強化を図る狙いをもつ。

 2023年度の同事業には、北海道、岩手県、宮城県、群馬県、新潟県、愛知県、島根県、広島県、高知県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県の全国13教育委員会が採択。文部科学省は今回、2023年度の取組み成果を教育委員会ごとに取りまとめ公表した。

 このうち、北海道「北海道高等学校遠隔授業ネットワーク」は、31校に8教科32科目の遠隔授業を配信。複数校への同時配信授業を実施した。長期休業期間中の進学講習や平常日の模試前講習(英語)などを行ったほか、配信センター教員を講師とした授業・クラウド活用研修会などを実施した。地元高校への進学や、配信教員の指導力向上、受信教室に配置する教員以外の職員の活用、受信校生徒間の切磋琢磨・交流する機会の確保などの成果をあげたという。

 また、コンソーシアムの構築により、各校における地域課題の解決に向けた探究的な学びに係る取組みを行ったほか、地域の特色を生かした取組みで高校の魅力化を図ることなどについて整理。取組みが進んでいる学校の先行事例の共有や、受信校への個別訪問による状況の把握、効果的な取組みについての指導助言などにより、コンソーシアム構築の促進に向けた成果を得た。今後は、体制構築に向けた進行管理が課題だという。

 愛知県「アイ(i)・チイキ(chiiki)・ツナグ(tsunagu)ネットワーク」は、県立内海高校、加茂丘高校、足助高校など6校において、総合教育センターをおもな配信元とする遠隔授業を実施し、地域連携コンソーシアムを構築。2023年度は遠隔授業について、総合教育センターからの集中配信だけでなく、内海高校、足助高校、福江高校において、観光に関する科目など、構成校同士を結んだ遠隔授業を行った。また、構成校以外の普通科高校からの授業や、理科の授業については、研究施設や博物館からも配信を行い、実験実習にも取り組むなど、拡張型の遠隔授業も実施した。

 地域連携コンソーシアムについては、地域との協働により、実践的・探究的な学びを実現できた、特性の似た構成校のコンソーシアムをつなげることができたなどと評価。今後、コンソーシアム構築のプロセスを標準化するとともに、新たに構築する学校が、先行している学校に相談できる体制の構築を進めるとした。

 宮崎県「ひなたハイスクール・ネットワーク」は、遠隔授業部門において、生徒の多様な進路に対応できる教育環境や、地域の強みと魅力を最大化する教育体制について検証を実施。オンラインの特性を生かした鑑賞型の遠隔授業や、進学を希望する生徒を対象とした習熟度クラス、学校の垣根を超えた探究プログラムなどを行った。

 遠隔授業を通して、担当教員が主体的に授業改善に取り組む機会が生まれた、地域に根ざした小規模校の魅力を高めることができたなど、効果が生まれたという。今後の課題は、遠隔授業の中心拠点について検証を進めること、地域の「核」として県立高校が担う役割を整理すること、多様な学習ニーズを把握し、質の高い学びを展開することだという。

 このほか、COREハイスクール・ネットワーク構想事業における各ネットワークの取組み状況は、文部科学省のWebサイトで閲覧できる。

《木村 薫》

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