デジタル庁は2026年5月12日、2025年度(令和7年度)教育分野の認証基盤に関する調査研究の成果報告書をWebサイトに掲載した。中学校から高校への指導要録・健康診断票のデータ連携、大学における卒業証明書や成績証明書の電子発行をユースケースとして取り上げ、手法や課題を検証している。
教育現場では、転校・進学時に保護者や教職員の負担軽減を図る観点などから、自治体や学校等の組織を越えて教育データを連携できる環境が求められている。2025年度「教育分野の認証基盤に関する調査研究」では、転校・進学の際に行われる組織間のデータ連携と、卒業証明書等の組織から個人へのデータ連携に着目し、ユースケースや制度的・技術的な検討の方針を整理。技術実証や現場実証に向けた課題、示唆、留意事項も提示した。
報告書では、教育DXロードマップにおけるデータ連携の方向性として、「タテ(学校段階を超えたデータ連携)」と「ヨコ(学校と学校以外の組織間との間でのデータ連携)」をあげ、タテは「本人を経由しない組織間の教育データ連携」、ヨコは「本人を経由する教育データ連携」として調査研究結果をまとめている。
導入ステップは、ステップ0「電子ロッカー機能の利用準備」、ステップ1「紙の運用から電子ロッカーWebに切り替える」、ステップ2「電子ロッカーAPIを利用することで、さらなる業務の削減を目指す」、ステップ3「電子ロッカーAPIが中心となり、構造化データをやりとりする」に整理。学校間をAPI連携(構造化データ)するが、現状の紙運用からの移行も考慮し、過渡期の運用としてWeb経由での連携方法も用意するとした。
「本人を経由しない組織間の教育データ連携に関する調査研究」では、現場負担が重く、かつ全自治体が関与する中学校から高校への進学手続きで本人同意が不要な帳票(指導要録、健康診断票)の連携を代表的なユースケースに取り上げた。検討の結果、教育分野の認証基盤は、既存のデジタル公共インフラを最大限活用する構成とし、システム実装はAPIとWebの2つの提供形態を備える設計とした。
具体的な仕組みとしては、中学校の校務支援システムと高校の校務支援システムをつなぐ認証基盤を国が整備し、活用するデジタル公共インフラとしてデータ連携における仲介役としての機能を有する「Gビズポータル(電子ロッカー機能)」、生徒の取り違え防止のための「マイナンバーカード認証」、電子ロッカー機能の利用主体が正当な教育機関であることを確認する「GビズID」を想定。活用にあたっては、関連する法制面、運用面等を総合的に考察・判断する必要があり、今後の実証事業で検討するとした。
「本人を経由する教育データ連携に関する調査研究」については、大学の卒業証明書および成績証明書の電子発行を代表的なユースケースとし、大学へのヒアリング結果に基づき、論点の抽出・整理を行い、業務面・システム面の諸要件を明確化した。検討の結果、証明書の電子発行においては、単に証明書を電子化するにとどまらず、発行主体の真正性を第三者が適切に検証できることが重要であるという結論に至った。
大学の証明書を電子発行する際の1つの方向性として、総務省のeシール認定制度を活用し、PDF形式の証明書に大学名義のeシール署名を付与する方法を提示している。
組織間の教育データ連携に関する全体スケジュールでは、2026年度に技術実証を実施し、ガイドラインやモデル仕様書を作成。2027年度は技術実証に加え、現場実証に向けた論点を検討。2028年度以降、基盤の本格運用を開始し、先行自治体への導入と同時にユースケース拡大のための施策の検討、全国展開に向けた検討に加え、効果測定を実施予定としている。














