文部科学省は2025年8月20日、2024年度(令和6年度)学校における教育の情報化の実態等に関する調査の結果を取りまとめ、速報値を公表した。統合型校務支援システムは東京都や富山県など10都県が100%の整備率を達成。ICT活用指導力が高い教員がもっとも多いのは愛媛県だった。
「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」は、初等中等教育における教育情報化の実態を把握し、関連施策の推進を図る目的で実施。全国の公立学校および教員を対象に「ICT環境の整備状況等」「教員のICT活用指導力」の2項目について調査し、毎年3月1日現在の状況を取りまとめている。
おもなICT環境の整備状況をみると、コンピュータの整備率は指導者用131.2%・校務用137.3%、児童生徒1人あたりの台数は平均1.1台を達成。普通教室の通信環境整備率は99.4%で、このうち無線LANが97.2%を占めた。大型提示装置整備率は、前年度比1.4ポイント増の91.0%で、もっとも高かったのは愛媛県の98.2%、もっとも低かったのは岩手県の73.4%だった。
統合型校務支援システム整備率は、前年度比3.4ポイント増の平均94.8%。東京都・富山県・岐阜県・滋賀県・山口県・徳島県・愛媛県・高知県・熊本県・大分県の10都県は100%を達成した。一方、青森県や福井県では7割未満の整備率にとどまった。
教員のICT活用指導力の状況をみると、「教材研究・指導の準備・評価・校務などにICTを活用する能力」は平均90.7%、「授業にICTを活用して指導する能力」は平均82.2%、「児童生徒のICT活用を指導する能力」は平均83.1%、「情報活用の基盤となる知識や態度について指導する能力」は平均89.2%。都道府県別にみると、教員のICT活用指導力は、4項目共に愛媛県、ついで茨城県で高かった。
また2024年度中にICT活用指導力に関する研修を受講した教員の割合は平均71.9%で、最高値が岐阜県の95.8%、最低値が群馬県の58.8%。ICT活用指導力が高い教員が多い愛媛県と茨城県は、いずれも9割弱の教員がこの研修を受講していた。
なお、教員のICT活用指導力調査は、文部科学省「教員のICT活用指導力チェックリストの改訂等に関する検討会」において、2018年年度に取りまとめられた4つの大項目と16の小項目からなるチェックリストに基づき、2023年度において授業を担当している教員が自己評価を行う形で実施。調査結果は「できる」「ややできる」と回答した教員の割合を示している。
同調査結果(速報値)の詳細は、文部科学省のWebサイトで確認できる。