サーバーワークスは2025年12月2日、早稲田大学と大学全体のAWS(アマゾン ウェブ サービス)利用における調達・運用モデルの構築に関する基本合意を締結したと発表した。同合意は、研究室単位で個別最適化されていたクラウド利用の課題を解決し、コスト低減と手続きの簡素化、全学的なガバナンス強化を推進するものである。
国内の大学や研究機関では、AI開発やデータサイエンス、高度なシミュレーションなど、大量の計算資源を必要とする研究が活発化している。文部科学省の競争的研究費からクラウド利用料の支出が可能になったこともあり、研究基盤としてAWSをはじめとするパブリッククラウドの活用が急速に拡大している。
一方で、この拡大は研究室単位での個別導入で進むケースが多く、早稲田大学においても、多数のAWSアカウントが個別の契約で運用されている状態であった。これにより、全学的な利用状況の把握が困難になるだけでなく、サポート契約の重複や、個別に調達することによる事務コスト増といった、管理・運用面での非効率性が大きな課題となっていた。
こうした課題を解決し、研究者がより創造的な活動に専念できる環境を整備するため、早稲田大学は学内のクラウド利用を統括する組織「CCoE(Cloud Center of Excellence)※」を軸とした、全学的な利用体制の整備を計画してきた。今回、計画の実現に向けたAWS領域の支援パートナーとしてサーバーワークスが選定され、両者間で基本合意に至った。
この枠組みにおいて、サーバーワークスはAWSリセラーとして早稲田大学の研究利用向けAWSアカウントを一元的に提供する。さらに、個別のアーキテクチャ設計支援、利用料の最適化(コストコントロール)、セキュリティとガバナンスに関する包括的なアドバイザリサービスを提供することで、早稲田大学全体のクラウド利用を最適化し、ガバナンス強化や人材育成などを横断的に推進するCCoE運営を支援する。
同合意にもとづく取組みにより、これまで個別最適となっていたクラウドの調達・運用プロセスが全学レベルで標準化され、計画のおもな目的である「利用に係る費用の低減」と「手続きの簡素化」の実現が期待される。また、全学統一のガバナンスとセキュリティ基準を適用することで、研究基盤の安全性を高め、研究者が管理業務の負担から解放され、本来の研究活動に集中できる環境を構築する。
サーバーワークスは、今回の取組みを、国内の大学・研究機関におけるクラウドガバナンスの先進的モデルケースとして確立することを目指す。今後は、同モデルの構築・運用で得られる知見を生かし、同様の課題を抱えるほかの大学や研究機関への展開も視野に入れている。学術研究の効率化・高速化を支援することで、AI・データサイエンス分野をはじめとする日本の研究DX推進に貢献していくとしている。







