東京大学大学院工学系研究科の松尾・岩澤研究室(松尾研)は、高校生がAIの本質を学べる体系的なカリキュラムの開発を進めている。2026年1月から3月に全国3校で先行実施したモデル授業の事例は、文部科学省編集の「中等教育資料」および月刊「産業と教育」の2026年6月号に掲載された。あわせて、全国の高校や教育委員会を対象としたパイロット校などの事前情報登録の受付を開始した。
AIが社会基盤となる中、すべての高校生がAIリテラシーを身に付ける必要性が高まっている。しかし教育現場では、仕組みの教え方や既存科目への組み込み、指導ノウハウの不足が課題となっている。「知能を創る」をビジョンに掲げる松尾研では、年間40以上の講座を開講し、2025年度には年間7万人以上が受講。こうした実績をもとに、データサイエンスの基礎から生成AIの活用まで学べる教材開発に着手した。
先行モデル授業には、山形県立酒田光陵高校、千代田区立九段中等教育学校、愛知県立旭丘高校の計552名が参加した。授業ではAIの学習の仕組みやプロンプティングの試行錯誤、活用方法を考えるワークショップなどを実施。事後アンケートでは満足度80%以上を獲得し、強いニーズと確かな学習効果が確認された。これら3校での実践事例は、前述の教育雑誌2誌でも詳しく紹介されている。
現在は、高校での正式な1単位(35コマ相当)として実施可能な「モジュール型」教材の開発を進めている。既存の「情報I」「情報II」や「総合的な探究の時間」にも柔軟に組み込める構成だという。教材の完成の目途が立ち次第、改めて全国の高校を対象にトライアル校やパイロット校の募集を行う予定。事前登録は、最新情報や正式募集の案内をいち早く希望する関係者を対象に、専用Webフォームから受け付けている。







